社員の自立心を引き上げ 作り上げる喜びを伝承したい

社員の自立心を引き上げ
作り上げる喜びを伝承したい

フルキャストアドバンス 代表取締役社長 山口 和宏さん

――社長に就任されてから約3か月が経過しました。期待やプレッシャーも大きいと思いますが、まずはこれまでの経歴を教えてください

山口 14年前にフルキャストに営業職として入社しました。大阪開拓では支店長として立ち上げから参画。その後は名古屋、中四国地区、九州地区などで新規顧客の開拓と、支店開設や組織作りに携わってきました。6年ほど前にフルキャスト本社で営業部の東京エリア長に就任し、その後、執行役員として本部営業で部長を務めてきました。フルキャストアドバンスが設立してからまだ3期目ですが、1期を終えた時点で、かなり厳しい状況にありました。社の意向で営業強化の役割を担い、一昨年10月に常務取締役でフルキャストアドバンスに就任したのです。

――以前と異なり、人材業界に対して厳しい環境になったと思いますが、どのようにお考えですか

山口 弊社は人材派遣業ではないのですが、昨今の派遣切りの問題などを含め、人材業界はかなり風当たりが強くなっています。そこで、私は事業の見直しや再構築を含めた「会社再建」のミッションで社長に就任しました。まずは会社の再建と立て直しに専念し、筋肉質な会社にしようと考えています。現在それに取り組んでいるところです。

――イベント・展示会についてはどのようにお考えでしょうか?

山口 昨年までの人手不足の状況ではないため、弊社自身が他社との違いをみせていかなければなりません。もっと専門性を磨き価値を作っていきたいと思います。
これまでは店舗数が多く、集客力で勝負していたのですが、統廃合で拠点数を少なくすることで人材を集中できるようになりました。今後は拠点ごとの独自性を出していくつもりです。
そのなかでもイベント・展示会分野は弊社の西船橋支店に集中し、ノウハウを蓄積させていくことが目標になっています。従来の支店の業務はスタッフのコーディネートと現場の運営管理に徹してきましたが、今回の体制では営業部門を配置しました。営業と運営でお客さまを満足させるには何が必要かを、各支店で認識し考えることが、クライアントの要望に近づけることだと思いますし、支店長のミッションはより高くなると考えています。

――この時期を展示業務拡大のチャンスと捉えてもいいのでしょうか?

山口 得意分野を選択し、資質を高めていけば、取引を拡大させるチャンスはあると私は考えます。いずれ景気が回復すれば、需要は戻ります。そのときにはアドバンテージをとりたい。そのためにもいまこそ、われわれが何をしなければならないのかを考え、それに向かって取り組んでいかなければなりません。展示会業界は魅力のある仕事ですし、さらなるスキルの向上と人材の育成に励み、教育を徹底したいと思っています。

――警備業の業績はいかがでしょうか?

山口 警備につきましては安定しており、ほぼ計画値通りに進んでいます。もともと当社の警備事業は合併する前から36年の歴史があります。そのころからノウハウを蓄積しており、他社と勝負できる価値を身につけています。ですから、不況になる前からクライアントとの価格交渉や現場の運用改善にも着手し、少しずつでも着実に成長しています。  私は警備業と請負業という二つの事業が、安定することを目指しています。その中のイベント事業はまだ苦戦している状況ですので、この部分を改革し、事業を再建したいと思っています。

――社長として、今後の目標はいかがでしょうか?

山口 社内に出すミッションは当社の再建、強化が目的です。この厳しい環境下で社員の自立心を引き上げ、そして何かを作り上げる喜びを伝承させていきたい。”このような時期があったからこそ、いまがある”、というストーリーが続くようなことを進めていきたいと思います。

――本日はお忙しいところありがとうございました。

「見本市展示会通信」2009年6月1日号掲載