【特別座談会】展示会の人材不足について考える
~現状と2020年以降_#2

山野井 また、警備の仕事・ニーズ自体は、展示会・イベント、コンサートなどの数に比例して、大幅に増加しています。オリンピックを目前に控えた今、関連イベントの増加と共に、展示会の形態も徐々に変化しています。1週間を通して行う展示会など、顧客のニーズと擦り合わせながら対応していくべきで、結局人員の増加が必須事項となっています。

特に最近は、女性のニーズが高まっています。展示会でも手荷物検査を実施するものが増えつつあり、女性の来場者に対しては女性が検査を行いますので女性の人材が必要です。しかし、なかなか女性が集まらない業界であり、今後は女性をどうやって取り込むかというのが警備業界の課題です。また女性といっても、独身の女性もいれば、小さい子供がいる主婦の方もいる。あらゆる立場にある女性を、今後どのように取り込んでいくかを当社も考えていかなければなりません。

しかし前提として、警備業が「案外、今までのイメージと違って働きやすい」と感じてもらえるよう、内部の改革を推し進める必要があり、世間の警備業に対する意識を変えていくという非常に大きな課題を抱えています。

戸村 当社にはイベント分野とシステム販売分野の2つ事業がありますが、イベント分野は今のところ社員募集に関しては他業種に比べ苦労はしていません。新卒者は毎年6名から10名程度の採用を行っていますが、まだなんとか採る人材を選べている印象で、女性比率が上がっています。

システム設計および本番のオペレーションといったチーフスタッフは社員が担当しますが、物を運ぶといった小さな作業や、その他諸々の作業をするスタッフは作業を請け負う人材派遣会社に委託しています。そして彼らが非常に人集めに苦労しているということを理解はしていますので早めの情報共有を心がけていますね。

津久田 ディスプレイ業では、オリンピック開催国として大会を控えている今、建設業や震災の復興に人材が引っ張られており、慢性的なアルバイトスタッフや大工さん不足です。
また、戸村さんから人材派遣会社の話がありましたが、大きな展示会ですと1年前からさまざまな人材派遣会社に当たり、その中でもさらに人材の取り合いが起こることもあります。

また、展示会で紙を扱う表具屋の仕事は山のようにありますが、人材難つまり職人が足りず、仕事を断ってしまう状態が続いています。サイン業界から表具師を斡旋してもらったり、大工さんが簡単なものは作業を進めたりと、異業種から人材の力を借りるほか、1人が多岐にわたって業務を行わなければ、展示会自体が成り立たなくなってきています。

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※「見本市展示会通信」776号より抜粋(2018年4月15日発行)

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