ゲーミングPCブランド「GALLERIA(ガレリア)」やeスポーツアリーナ「LFS(ルフス)池袋」の運営で知られ、日本eスポーツ連合のスポンサーも務めるサードウェーブは、8月30日・31日に大阪・コングレコンベンションセンターで開催されたスポーツ産業展示会「スポーツビジネスジャパン2018 together with スタジアム&アリーナ2018」に出展し、eスポーツの可能性をスポーツ関係者に示すとともに今後のビジョンを語った。
同展にeスポーツが登場するのは初。ブースではGALLERIAやゲーミングチェアを展示したほか、サッカーゲーム「FIFA 18」のプレイ映像を12面の巨大モニターに表示し、来場者にeスポーツの存在感をアピールした。来場者の多くがリアルスポーツの関係者であり、eスポーツへの物珍しさもあってかブース前には人だかりができて通行が困難なほどだった。
30日に行われたパネルディスカッション「eスポーツはリアルスポーツを 超えるのか?」にも、サードウェーブ副社長の榎本一郎氏が登壇。eスポーツを日本の文化にするため何が必要かとの問いに対し、毎日新聞社とタッグを組んだ「全国高校eスポーツ選手権」の開催や、芸能プロダクションの浅井企画と共に展開する「浅井企画ゲーム部」の名前を挙げ「さまざまな企業とアライアンスを組み、ブームで終わらない文化にしていく」と決意を語った。ディスカッションの中では「全国高校eスポーツ選手権」において新たにeスポーツ部を作った学校に対し、JeSU公認のゲーミングPC GALLERIA GAMEMASTERを3年間無償レンタルすることも明らかにした。
同日に行われた出展者プレゼンテーションでは榎本氏と上席執行役員の松原昭博氏が登壇し「世界のeスポーツの潮流と、日本の最新eスポーツビジネストレンド」について説明を行った。
世界のeスポーツ競技人口は1億3,000万人以上でバスケットボールの4億5000万人、サッカーの2億5,000万人に次ぐほど多い。
視聴者数は2018年で3億8,000万人で、21年には5億5,700万人となる見込みだ。地域で見るとアジアが全体の53%を占めており、最近では韓国でも人気が増している。
収入規模は18年で1,000億円ほどで、21年までに1,815億円になると予想されている(この数字は調査会社によってこ異なる)。
世界中の企業が今、eイースポーツに投資している理由として松原氏は「ミレニアル世代」へのリーチを挙げる。世界のeスポーツプレイヤーの70%以上がこの世代であり、デジタルネイティブのミレニアル世代とeスポーツの相性の良さが背景にはある。
国内でも何かと話題になっているeスポーツの五輪公式競技化については、五輪のスポンサー企業でもあり世界的なeスポーツ大会を開催しているインテルの存在が鍵になると示唆。パリ五輪での正式採用に期待を寄せた。
さらに世界のトレンドに目を向け、eスポーツのトレーニング施設や専門教育に言及。eスポーツがリーダーシップやチームワーク、問題解決力、コミュニケーション能力を育むものとして、海外に対し遅れを取っている日本でも見習う必要があるとの考えを示した。
最後に松原氏はサードウェーブのこれまでのeスポーツに対する活動と、今後のビジョンについて解説。サードウェーブではeスポーツ大会「GALLERIA GAMEMASTER CUP」を主催し、優勝チームをJeSUを通してアジア大会に派遣している。また、プロeスポーツチーム「Rascal Jester」やLFS池袋の運営に加え、今後は「全国高校eスポーツ選手権」「浅井企画ゲーム部」などその活動の幅をさらに広げていく考えだ。榎本氏はeスポーツ事業に対し「企業や自治体とeスポーツ団体を地域コミュニティとして繋ぎたい。そのための知見はこれまでの事業で培ってきたので、それを活かして『eスポーツと言えばサードウェーブ』と思って欲しい」と意気込みを見せる。