東北大学 寺田 賢二郎教授に世界計算力学会議の誘致成功を聞く

日本政府観光局(JNTO)ではMICE誘致のため有識者を「MICEアンバサダー」として任命し、その活動に対し各種支援を行っている。このほど、MICEアンバサダーである寺田賢二郎教授(日本計算工学会 前会長、東北大学 災害科学国際研究所 教授)は、2022年7月31日から8月5日にかけて開催予定の「世界計算力学会議(WCCM 2022)」を横浜へ誘致することに成功した。本紙では誘致成功のポイントについて話を伺った。

■28年ぶり2度目の日本開催が決定
―世界計算力学会議(WCCM)の概要を教えてください
WCCMは国際計算力学連合(IACM)が主催する、計算力学に関する広範囲な分野を包括する国際会議です。日本での開催にあたっては、私が会長を務めた日本計算工学会(JSCES)と計算力学連合(JACM)が主幹団体となります。

計算力学は計算科学のひとつであり、数値計算のシミュレーション手法を開発したり、利用技術を発展・高度化させたりする学問領域です。実験力学や理論力学などで扱えない問題をシミュレーションで解決する第3の分野とも言われ、CAE(計算機支援工学)を支える理論・技術を構築しています。これらの理論や技術は、製造業や建設業などのものづくりの場において、機能性や安全性に対する評価ツールとしてのソフトウェアに反映されています。

WCCMは1986年に米オースティンで第1回目が開かれ、2002年までは4年に1度、現在は2年に1度の開催となっています。日本でも1994年に千葉で第3回目となるWCCMを開催した実績があり、今回横浜への誘致に成功したWCCM 2022は実に28年ぶりの開催となります 。

―WCCMにはどのような人が参加するのですか
計算力学分野の研究者が主ですが、ソフトウェアをいかに利用するかという応用技術も含まれているため、その利用者も参加します。参加予定人数は約3500人で、世界40カ国から外国人約2000人の参加を見込んでいます。

―日本でWCCMを開催する意義とは
日本は世界的にものづくり大国であり、計算技術、シミュレーション技術が大きなウェイトを占めています。WCCMをものづくりの基幹産業が集積する横浜の地で開催することで、世界に日本の勢いを改めて示せるのは、研究者のネットワーキング構築や自負にもつながります。

 

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