「集客」から展示会のブース作りを語る 特別座談会

―海外と日本の展示会を比較した際「日本の展示会は遅れている」という声を聞きますが、皆さんの考えをお聞かせください
坂本 日本の展示会はいまだ閉鎖的なので、そのスタイルが変わっていって欲しいと願っています。展示会の重要性や役割を、コンシューマーが知る機会が増えればと。それなりの費用を投じてやっているのですから、もう少し世間の認知度は高めるべきです。

西田 海外と比べたとき、日本が優位に立てるのはテクノロジーを融合した体験づくりではないかと思っています。例えば映像・音・香りなどを連動させた五感を刺激する仕掛けづくりのため、バックグラウンドでロボット技術を活用するなどです。包括的なきめ細かさという点では海外よりも日本にアドバンテージがあります。世界の展示会のなかで、日本が生き残っていくためには知恵を絞らねばなりません。蜂谷 確かに、日本の展示会業界は20年の五輪問題などで分水嶺に立たされていますしね。今は東京ビッグサイトや幕張メッセが一時的とはいえ、使えなくなる影響がどの程度出るかが気がかりです。展示会が開催できなくなる、あるいは縮小して初めてその重要性に気づくのか。はたまた展示会がなくても何も困らないじゃないかとなるのか、答えが出る日はそう遠くありません。

西田 そもそも日本の展示会の中心が東京で本当にいいのかという疑問もあります。米国でも会場がラスベガスなら行くのが自然と楽しみになってきますが、東京はどうでしょうか。海外の方にとっては開催地が京都の方が楽しみかもしれません。

坂本 日本は海外と比べて土地が少ないというのもありますが、だったら会場を分散するのも一つの手だと思います。街全体を展示会場に見立ててAホールはここ、Bホールはここといったように回遊してもらう仕組みがあってもいいと思います。

蜂谷氏が手掛けた「TOKYO GAME SHOW 2017」KONAMI Booth

―それでは最後に日本の展示会産業発展のため、メッセージをお願いします
坂本 以前、アブダビで開催された狩猟と馬術の展示会の仕事をしたことがあります。足を運んで驚いたのですが、展示会場にずらっと狩猟用ライフルや遊牧民の装飾などが並んでいて、国の文化を体現していると感じました。同時開催では遊牧民の写真展もやっていました。日本もビジネスと文化の垣根がもう少し緩くても良いのではないでしょうか。気楽に、美術館に立ち寄るような感覚で、展示会ひいてはブースに人が集まるようになれば、また新しい発展の路も見えてくるはずです。

西田 展示会を開く以上は特別な製品やサービス、体験を出すことで社会にメッセージを発信するとともに実入りのあるものにして欲しいです。真面目に生きることは日本人の美徳かもしれませんが、必要以上に硬くならないことも世界から求められています。よりクリエイティビティな場を作るため、みんなでスーツを脱いでしまってもいいんです。ビジネスをするにしても、みんなが楽しめる方が良いに決まっています。

蜂谷 主催側にもそういった柔らかい空気を醸成していって欲しいですね。展示会とフェスの中間的なイベントが開催されてもいいですし、形式にとらわれずフリーマーケットのような開かれた場を設けることも必要なのではないでしょうか。BtoBだからといって既存の方法に固執するのではなく、日本ならではの新しいスタイルを切り拓いていってくれたらと。一般消費者を取り込むことで出展企業の認知にもつながりますし、学生に存在や活動を知ってもらうことは、人手不足がうたわれている昨今ますます重要な要素となってくるはずです。

―本日は貴重な話をお聞かせいただき、ありがとうございました