短期間に多くの人が集まる展示会やイベントでは、映像を駆使した演出の効果が高く発揮されるため、機材レンタルの重要度が高い。昨今のスポーツ観戦のエンターテインメント化傾向やeスポーツの流行も、映像業界にとってもさらなる追い風となるだろう。そこで、今年10月に日本映像機材レンタル協会(JVRA)の新会長に就任した中島義人氏(ヒビノメディアテクニカル代表取締役社長)に、映像が持つ可能性や、現在直面しているオーバーワークや人材流出といった課題について話をうかがった。
■約40年の歴史を持つ協会
―JVRAの概要を教えてください
JVRAは映像・音響機材を取り扱う同業者間の親交を深めることを目的として1980年に発足しました。情報交換をしつつ、困ったときはお互い助け合いましょうという理念がきっかけです。相互協力の中で、高い日本の技術力をクライアントに披露する役目も担っています。
約40年の歴史の中で、我々の仕事はイベント業界に必要不可欠なものになりました。それにともない協会も拡大し続け、現在では41の映像・音声・コンピューター関連機器のレンタルサービスを行う企業と25の国内主要メーカー、計66社で構成されています。
―主な活動は何でしょうか
毎年開催している総会のほかに会員同士が交流できる場として、年に2回の海外視察ツアーを実施しています。最新の映像機材などが並ぶ展示会であるISE(オランダ)とインフォコム(アメリカ)を視察しています。
さらに毎年「業務担当責任者会議」を実施しています。参加対象者はオーナーではなく、普段業務の中心で働く若い方々で、目的は映像機材等の最新情報や知識の共有と、協会内の横のつながりを深めることです。全国に広がる協会ですから、このような場がないとなかなか顔を会わせる機会がないんですよ。これによって企業間や人同士のつながりが太くなり、同業者間で協力が必要不可欠な我々の仕事がよりスムーズに進みやすくなっています。
―同業者間で保有している機材の情報を共有しているのは、協会としても珍しいですよね
各社の主力機材はある程度把握しています。そうしないと大型案件の依頼があったときに対応できるかどうかをクライアントに即答できないのです。ただ、各社が持つラインアップや台数は異なるため、それぞれマーケットも微妙に違います。互いに補足し合い大型案件に対応しています。これから到来する大型イベントに向けても、協力体制をより一層強化していく必要がありますね。
―今後の活動方針について教えてください
私の実感としては協会の認知度はまだまだ低いと感じています。JVRAのロゴマークをもっと認知させていきたいという思いが強いですね。最終的にはこのロゴがあることで、クライアントに安心感を与えることができるところまで持っていきたいです。
私もいろいろな場で協会をPRしていくつもりですが、何よりも大切なのはコツコツと映像と音の技術を磨き、ノウハウを培い、クライアントにフィードバックしていくことです。