チームで空間をつくる
弓削 僕自身、もともと映像制作の他にも空間デザインやデジタルサイネージを手掛けてきたので、投影設計からシステム設計も行いますし、機材選定もプランニングの段階で行っています。
僕らが空間やハードの演出的な可能性を知っているからこそ、新しい映像体験、映像表現、フィジビリティを考えた実効的な企画を考えることができると思っています。だからこそ一緒に仕事をする外部のパートナー企業には、同じように新たなものにチャレンジしてくれる方々と取り組みたい。シーマさんはそのマインドを持ってご一緒していただけているので、表現側の可能性を伸ばしてくれるブレーンだと思っています。
石丸 いや~プレッシャーを感じます(笑)。しかしながらあらゆるロケーションスキルをお持ちの弓削さんだからこその絶妙なシステムプランがあり、各々のブレーンパートの都合に終始せずにまとまり感のある“体験設計”を実現できる。空間演出の意図していることがテクニカルブレーンにも伝わりやすく、結果、質の高い成果物になっていると日頃感じます。
弓削 「クリエイティブ」「スペース」「テクノロジー」をキーワードに新しい映像体験をクリエイティブディレクションする「P.I.C.S.TECH」という僕らのチームは、現代美術、メディアアート、電気電子工学、建築、空間デザイン、自然科学などのバックグラウンドを持ったメンバーで構成されています。さまざまな視点の融合が新しい映像体験を生み出していけると考えています。
そんな多角的に考えられるチームを作った背景は、表現のアウトプットがクリエイターの描いた世界になっておらず、凄くもったいないと感じたことです。そういった案件にも対応していくためでもあります。僕らは制作サイドでありながらアウトプットに関することまで理解しているので、機材の使い方や空間として考えることも得意。イベントの演出家の脳みそがもっともっと働くように心掛けて一緒につくり上げています。そうすると「これできる?」「あれもできるんだ!」「じゃあこれは?」と演出家やディレクターからアイデアが出てくるんです。
僕の場合、こういう話をするときって言葉で言っても伝わらないからこんな感じだよって簡単にプロトタイプを作りますね。結局体験してもらわないとわからないから。
石丸 その体験してもらうことって重要なトリガーですよね。
弓削 いろんなものをPRしたいのに、うまく伝わらないことや伝えられたらもっと売れるものは、あると思うんです。一般の商品としてつくるものは無難にしないといけないけど、イベントで見せるものは、もっと尖ってていい。ユニークな演出や見せ方ができるのもイベントの面白いところですよね。
僕らの役目は考え付かなかった視点を出すこと。いろんな分野・立場の人と触れて、チーム内にもそれぞれ得意なジャンルを持つ人がいるからアイデアが生まれている。今後のものづくりは自分だけでなく、いろんな人と共同でつくるから新しい発想・クリエイティブが生まれるのだと感じています。
石丸 色々とお話ありがとうございました。2025年「大阪万博」もあり、1970年当時の「大阪万博」で展示されていた「あの頃の未来」は今、現実になっています。2025年に見る「これからの体験の未来」がこれから楽しみですね。
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特集「映像×テクノロジー 最新イベント演出から探る」収録内容
映像×テクノロジーで広がる演出の可能性 ピクス 弓削淑隆 × シーマ 石丸隆
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