■注目のスイッチャー
新井 スイッチャーは、ローランドの「V-600UHD」が特に気になりました。4Kにも対応していて、ROI技術も搭載しています。
石丸 ROIはもともと監視カメラなどで利用されていた技術で、映像をトリミングしてズームアップするといったようなもの。僕たちイベントステージの分野ではあまり使われていなかったけれど、4Kが発達して映像が高解像度になることで、イベントでも使われるようになってきた。しかも、僕たちが現場で使うようなスイッチャーに搭載されはじめてい
る。実際、現場の皆さんはこの技術に興味あるんですかね?
菊地 現場スタッフが私のデスクの上におもむろにカタログを置いていきます。今一番買って欲しい機材のひとつのようです。
石丸 色々使い道はありそうですしね。例えば、1カメのみで中継をしていても、この技術を使えば、全景とズームの映像切り替えができるから、あたかも3カメ4カメがあるような演出ができる。機材コストと人件費の削減につながる技術じゃないでしょうか。
新井 もうひとつ注目しているスイッチャーがあります。Analog Wayの「Aquilon」です。性能はハイエンドで、そこまでのスペックはまだ正直必要ないんですが、「マルチオペレーターリアルタイムコラボレーション」という機能を聞いて、思わず食いついてしまって。これ、1個のスイッチャーを数人で操作できるシステムなんです。
石丸 これはすごいですよね。InfoCommのときも実機が置いてありましたよ。Aquilon 1台に対して3台のコンソールを並べて、それぞれ違うオペレーションができる、とても便利な機能。僕も初めはこのシステムの必要性をちょっと疑ったんですけど、よくよく考えてみると分担してオペレーションができて、プロセッサーは1台で済ませられる点は、かなりメリットなんじゃないですか?
新井 今、機材の性能が上がって、1つのコンソールでほとんどのことができるようになってしまったじゃないですか。つまりオペレーター1人に掛かる仕事量も増加している。もちろん、理論上は1人のオペレーターで全ての操作ができることになっていますが、現実的にはそんなこと無理ですよね。とても1人でやりきれる量じゃない。
鶴川 僕もオペレーターを10年ほど経験してきましたが、確かにコンソールでできることが増えるに連れて、オペレーター1人の操作と負担も増えています。1人1人の負担を減らすためにも、作業が分担できるようになるのはいいですね。