3.アジアの中でも九州が選ばれるために必要なもの
―誘致は連携がキーワードですが、MICEを受け入れる施設へのニーズ変化はありますか
古賀 ニーズというよりも私どもが変わる必要があり、国際化をより意識しています。韓国BEXCO(釡山国際展示場)と2015年にMOUを締結したのですが、その活動は主催事業の相互出展やベトナム環境展における九州企業の販路拡大支援、表敬訪問や意見交換などの多岐にわたります。
この背景には、地方施設の国際化が遅れているという認識がある中で、施設として国際対応をすすめていくために、海外施設との交流を通じて、将来的に国際標準に合わせた施設づくりを進めていきたいという狙いがあります。
中野 国際化により外国語、特に英語対応のニーズが高くなっていると考えています。
例えば当社の場合、誘致に成功して会場利用の申込み受付までは営業部の業務ですので、部内には英語が堪能な職員を2名配置しています。しかしながら開催までの打ち合わせから精算業務までは、別の部署が行っております。英語の対応が追いつかない事態が希に生じています。
国際MICEへの対応力の向上として、英語、その他の外国語対応を含めて、少しずつ進んでいると自負していますが、十分な体制を整備するまでには未だ数年かかると考えています。
―競合するアジア諸国・各都市ですが、国際化が進む中で、九州が一丸となって大型MICEを呼び込むことも必要かと思いますが、皆さんはどのようにお考えですか
中野 冒頭にお伝えした「世界水泳」の誘致によって会場の利用制限がありますので、リピーターのお客さま含めご利用者を西日本総合展示場やグランメッセ熊本に手厚くご紹介しております。このように、今後大規模MICEを呼び込んで行くにあたっては、施設間同士の情報共有や協力がますます重要になると考えます。そうすることで九州の施設間での協力態勢をアピール出来るとも考えております。
なお、MICE誘致については福岡コンベンションビューローが各県のビューローとのネットワークを駆使していますので、コンベンションセンターとしても、これまで以上に各県の施設の皆様と連携を図りながらMICE誘致に取組んでいきたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。
大村 大事ですよね、三者の取組み。熊本市でも参考にさせていただければと思います。
古賀 国際化に対応するという意味では、もっとこれまで以上に連携して、いろいろな情報交換をしながら九州全体を盛り上げていく発想は必要でしょう。アジア大都市は、数百万人規模であり、展示会場は二つ、三つ存在し様々なMICEが繰り広げられています。アジアとの競争の中で、九州のMICE施設が選ばれるためには九州全体でアピールする必要があると思います。
持論ですが、例えば大型モーターショーを開催するならば、福岡では乗用車を展示し、北九州では商用車を展示することで、関心のある人は両都市を行き来する。これくらいのスケール感で展示会を開催しないと、アジアから多くの人を呼び込んだり、大きな展示スケールを出展してもらうなどの発想にたどり着かないのではないでしょうか。さらに言えば関連するテーマの展示会をいくつもの展示会場で開催し、九州を一巡してもらうような構想があっても良い。未来に向けた連携を考え、競争しながら連携していく発想で臨む必要があるんだろうと思います。
―熊本市も新ホールができれば、誘致の手法も違った発想を求められそうですね
髙橋 確かにコンベンションではビューロー同士の連携がありますので、情報交換やインバウンド向けの取組みを進めています。
しかし、施設間の交流という意味では私どもでは計り知れないところがありますが、他都市で開催されたMICE参加者のアフターコンベンションや観光で熊本を選んでいただけるならば、ぜひとも協力していきたいと思います。