展示会でノベルティを効果的に活用するためには

「ノベルティ」。営業や販促イベントでも使われることの多いツールだが、展示会では、どんな役割を果たすもので、どのように利用することが効果的な使い方なのだろうか。あらゆるノベルティの製作・販売を手掛けるイディアス・代表取締役社長の大久保伸氏に聞いた。



ノベルティの役割と効果的な使い方

展示会のノベルティには、ブースに訪れた人や名刺交換をした人、アンケートに答えてくれた人などに渡す「不特定多数の展示会来場者に配布するもの」と、商談が成立した相手や既存の顧客、営業先企業の決定権者に「ブース来訪のお礼として渡すもの」の2種類がある。

大久保 伸 氏

■不特定多数に配布するノベルティ

「不特定多数に配るタイプのものを〝ばらまきグッズ〞と呼んでいますが、ノベルティはただ配るだけでなく、きちんと役割があります」と話す大久保氏。
展示会に出展する目的は企業によって異なるものの、商談につながる顧客を獲得することを目標に掲げている企業がほとんどだ。そのためノベルティは、ぜひこの目的を達成するために活用したい。

はじめに、商談の成約率を上げるためには、自社に興味を持ってくれる人の母数を増やす必要がある。ノベルティは、ブースの前を素通りしてしまいがちな来場者をキャッチできるため、この点で大きな力を発揮する。

展示会場にはブースが並び、多数のサービスが紹介されているが、ブースの第一印象だけではサービスの内容が分かりにくく、どんな形で自分たちの役に立つのか予想がつかない。もしブースに入って、求めているサービスと全く異なっていた場合、展示会後の電話やメールを煩わしく感じるため、「できるだけ関係のないブースには入りたくない」というのが来場者の心理だ。
しかし稀に、ノベルティ欲しさに人だかりができているブースがあることもある。自分の探しているサービスとは明らかに違っていても、人だかりが「何だろう」「面白そう」という気持ちを喚起させる。来場者の好奇心を刺激し、ブースに人を集めて賑わいを作り出すことで、ブースに入ろうかどうか悩んでいる人の背中を押す効果もある。

またノベルティは、来場者との会話のきっかけになることがある。出展品と全く関係ないノベルティであっても、来場者に渡して反応があると、そこから会話が弾み商談へ進むこともある。話のきっかけを作り、ユーザーに心を開いてもらうことは、商談の中でとても大事なポイントで、ノベルティがこの役割を果たしてくれる。例え展示会のアテンドに慣れていない新人のスタッフであっても、ノベルティを配ることで通りがかる人に声をかけ、効率よく来場者をキャッチできるほか、配っているものを通して来場者と会話もでき、スタッフのレベルを問わずに集客が可能になる。

ブース自体に華やかさを演出する効果もあるという。近くのブースが派手なデザインや人気企業である場合、どうしても来場者の視線がそのブースに逸れてしまうが、カラフルなノベルティを持ったスタッフがブースの前に立っていると周囲が華やかになり、ブースが魅力的に演出できる。このようにサービスやブースそのものよりも、ノベルティに注目させる出展戦略を立てることも活用方法のひとつだろう。

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■ブース来訪のお礼として渡すノベルティ

より商談を深めたい相手や企業の決裁権者に、展示会で自社ブースに足を運んでもらうことは重要な商機だ。
相手が一度きりのビジネスライクな関係のままでいようと感じるのか、それともこれからもっとさまざまな付き合いや商談を進めていきたいと感じるのかは、商談相手に対するこちらの気持ちが伝わるか否かだという。
「商談成約の記念や、ブースに訪問したとき特別にプレゼントとして渡されるものは、高いものでなかったとしても、心に残ります。ペンやメモ帳でも、しっかりとケースに入ってい
て、上品に社名が印字されているものであればなおさら、その企業の気持ちを感じ取ることができます。小さなことですが、こうした心配りによって商談の今後の展開も大きく違ってくるでしょう」。(大久保氏)

ノベルティのトレンド、最新商材

展示会向きの商材として、ライトやタッチペンつきの多機能ペンなどが挙げられる。来場者からのリアクションや小さな笑いを誘うツールは会話のきっかけを作りやすいからだ。また、季節によって暑さや寒さが厳しくなる展示会場では、扇子やカイロなども人気の商材となっている。

最新の商材としては、リレーアタック防止のキーケースや、米などもノベルティとして登場している。ほかにも、スマートフォンを置いて充電ができるワイヤレスチャージャー、小さなケースに入っているレインポンチョ、水をすぐに吸収する珪藻土コースター、金塊を模した箱に入ったブランケットといったユニークなノベルティを活用している企業もある。

ゴールドボックスブランケット
お米ノベルティ(1号)

定番は、フリクションやボールペンなどの筆記具、付箋やメモ帳で、不織布のバッグやキャンバス地のトートバッグも根強い人気がある。
よく利用されているノベルティでも、色違いを数種類用意したり、箔押しでロゴの印刷をしたりすることによってオリジナリティを出し、他社と差を付けることができる。また、来場者に好きな色を選んでもらうことで、「選んだ」という体験が相手の記憶に残り、後の営業活動も有利に働く。こうした戦略も視野に入れながら、ノベルティを活用していきたい。

 

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