電子情報技術産業協会は、今日11月13日から15日の3日間「Inter BEE 2019(2019年国際放送機器展)」を幕張メッセで開催している。
同展は“新たなメディアの可能性を世界に伝えよう。”をテーマに最新の映像・放送・通信機器、照明・音響機材、関連ソフトウェア、サービスなどが集結するメディアの総合イベント。過去最多となる1158社・団体、2125小間で展開し、来場者数4万人を見込む。
会場内で出展中のRolandブースでは、イベント映像演出やライブ配信に関するソリューションを紹介。イベント4k化に向け、最新ビデオスイッチャー「V-600UHD」を実機展示。ROI機能やHDR対応機種となっており、多くの来場者が関心を寄せた。
また同時開催展の「デジタルコンテンツEXPO(DCEXPO)」では、先端コンテンツ技術やクリエイターによるコンテンツ作品などを展示。基調講演やセッションも多数予定しており、本日はロンドン大学ユニバーシティカレッジの石津智大氏と早稲田大学・基幹理工学部 表現工学科の河合隆史氏による基調講演「神経美学と対話するデジタルコンテンツの未来」などを実施。
石津氏はアートを通した脳研究などの神経美学を専門に研究しており、「芸術と脳研究は離れているようで、とても近い関係」とした上で、「人間が美しいと感じる感覚のうち、壮大な自然などを目にしたときの“崇高さ”を感じさせるためにはスケールの大きさが必要で、美術館などで表現することは難しい。VRコンテンツはこの崇高さを感じさせることができるメディア」と話す。
また河合氏は先進映像を対象とした、短期的・直接的な影響を研究しており、その成果と実験を紹介。鑑賞して心地のいい3D映像の制作や情動効果を高める3D演出表現への取り組みなどを挙げた。
「デジタルコンテンツの未来」をテーマにした両者による対談では、VR技術による第4の壁(演劇などにおいて舞台上のフィクションの世界と、観客のいる現実世界との境界を表す)の消失といったトピックが示され、「自分が俳優や登場人物と同じ世界にいることと、自分が一人称で何かアクションをすることでは認知的に異なってくる。客観性が変化するためコンテンツの作り方も異なってくるのではないか」など、積極的な議論が交わされた。