2月19日と20日の両日、パシフィコ横浜で「サステナブル・ブランド 国際会議2020」(SB YOKOHAMA 2020)が開催された。主催は博展。
今回で4回目、横浜では初開催となるこの会議は、気候変動や人権問題など課題解決に向けた取り組みが急務となっている中、企業への要請も強まっていることを受け、社会課題解決と事業戦略の統合を図るためのもの。19日にはMICE分野に特化した会議「サステナブル・イベント・プロフェッショナル・フォーラム」が開催された。その様子を紹介する。
基調講演
Brand Engagement-the Sustainable Way
フィオナ・ペラム
Positive Impact Events
CEO
2019年、国連がSDGsを早期に達成するためのアイデアを募集した。Positive Impact Events(PIE)ではイベントが多くの人を一堂に集めることから、世界で唯一SDGsのすべての課題を達成する力のある業界だと主張。協力を持ち掛けた。
具体的には、国連のアクションキャンペーンとコラボしアンケート活動を行った。68カ国7,000人のイベント関係者が回答した。結果、イベント業界が特に重要だと考えているSDGsのテーマは二酸化炭素の排出および気候変動、水質問題、飢餓や食力問題、質の高い教育ということが分かった。
SDGs達成のためには、考え方や、やり方を変える必要がある。我々がSDGs達成要件のチェックリストを提供するのは簡単だが、探求心と好奇心を持たなくてはいけない。正解がひとつと決めつけていたら、進歩しない。
現在、世界にはイベント業界に向けたSDGsの指針がほとんどないが、遠からずプラスチックごみや人権、測定、循環型経済といった壁にぶつかるだろう。気候変動枠組条約(UNFCCC)は今後、イベント業界向けの測定プラットフォームを用意する。イベントをサステナブルなものにするため、これまで使っていた材料を別の何かに置き換えられないかを考え、結果を測定する必要がある。
自らが率先してイベント業界でサステナビリティを高めるアンバサダーとなって、情報を発信してほしい。
特別講演
イベント主催者としてのサステナビリティへの挑戦
金子 忠彦
世界トライアスロンシリーズ横浜大会組織委員会
事務局長
公益財団法人横浜市体育協会
常務理事・大規模スポーツイベント担当局長
横浜トライアスロンは2009に開港150周年記念事業として始まり、19年までで総出場人数1万4,500人、観戦者276万200人を達成している。
2007年から山下公園前海域における水質浄化実験などの準備を始めた。国内では初めてイベントの持続可能性に関するマネージメントシステムの国際規格であるISO20121を取得。
サステナビリティに対する取り組みとして、大会のひと月前にプレイベント「グリーントライアスロン」を山下公園で実施している。山下公園内の清掃やスイム会場である山下公園前海面および海底の清掃を行っており、2015年の大会からは海洋資源を活用した温暖化対策プロジェクトである横浜ブルーカーボン事業も始めた。
大会参加者には参加費とは別に環境協力金200円を徴収。ブルーカーボン事業に充てている。ごみの分別のためにエコステーションを作ったり、クリーンキーパーを配置するなど会場の環境美化にも努めている。
今後も、横浜トライアスロンを通じて多岐にわたる社会貢献を図りたい。