不安募る展示会業界 主催者へ調査の動き

厚生労働省は20日、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため「イベントの開催に関する国民の皆様へのメッセージ」を重要情報として発信し、主催者に対して「イベント等の主催者においては、感染拡大の防止という観点から、感染の広がり、会場の状況等を踏まえ、開催の必要性を改めて検討していただくようお願いします。なお、イベント等の開催については、現時点で政府として一律の自粛要請を行うものではありません」と声明を発表した。

相次ぐ中止や延期はイベント業界に大きな打撃を与えることが想定され、展示会のブース装飾を行う会社の担当者は「(このまま中止が続けば)億単位の損失になる」と話す。

厚生労働省の「自粛要請を行うものではない」という、主催者への開催の是非を委ねる発表は困惑を生んでいる。こうした状況下、日本展示会協会は展示会の主催企業に向け開催動向の調査を行う方針としている。

なお2月21日現在、展示会に参加した感染者の報告はなく、今週は17本の展示会が開催された。

イベント中止や延期の報道について、SNSでは「やむを得ない」とする声が目立っている一方、人が集まり拡散のリスクを抱えているという認識でイベントが中止や延期となっている現状下、電車などの交通手段に対して特に対策が取られていないことを疑問視する意見も出ている。 

以下、厚生労働省の発表原文まま

新型コロナウイルスの感染の拡大を防ぐためには、今が重要な時期であり、国民や事業主の皆様方のご協力をお願いいたします。 

 最新の感染の発生状況を踏まえると、例えば屋内などで、お互いの距離が十分にとれない状況で一定時間いることが、感染のリスクを高めるとされています。

 イベント等の主催者においては、感染拡大の防止という観点から、感染の広がり、会場の状況等を踏まえ、開催の必要性を改めて検討していただくようお願いします。なお、イベント等の開催については、現時点で政府として一律の自粛要請を行うものではありません。

 また、開催にあたっては、感染機会を減らすための工夫を講じていただきたい。例えば、参加者への手洗いの推奨やアルコール消毒薬の設置、風邪のような症状のある方には参加をしないよう依頼をすることなど、感染拡大の防止に向けた対策の準備をしていただきたい。

 国民の皆様においては、風邪のような症状がある場合は、学校や仕事を休み、外出を控えるとともに、手洗いや咳エチケットの徹底など、感染拡大防止につながる行動にご協力をお願いします。特に高齢の方や基礎疾患をお持ちの方については、人込みの多いところはできれば避けていただくなど、感染予防に御注意いただくよう、お願いいたします。

 そのためには、学校や企業、社会全体における理解に加え、生徒や従業員の方々が休みやすい環境整備が大切であり、テレワークや時差通勤も有効な手段であります。関係の皆様のご協力をお願いいたします。

なお、新型コロナウイルス感染症の今後の感染の広がりや重症度を見ながら適宜見直すこととしています。