主催者や会場など、世界中の展示会関連企業・団体が所属する国際組織、国際見本市連盟(UFI)は3月10日、新型コロナウイルスによる展示会の中止が相次いでいることから、展示会に与える影響について発表した。
今回の発表では「出展者の商談から生まれる経済生産量」と「主催者や会場など、展示会開催により生まれる展示会業界の生産高」の2点の影響額を計上。中止によって失われたとされる商談による経済損失は少なくとも230億ユーロで、展示会業界への影響はすでに中止されたイベント数・規模に基づき算出され144億ユーロの打撃を受けており、今後中止・延期が続くことでその額はさらに広がるとした。
地域別の展示会業界への経済打撃はアジア・太平洋地域が最も大きくすでに84億ユーロ、ヨーロッパで中止・延期された展示会は58億ユーロに達しており、UFIは他地域についても調査を進めている。
また新型コロナウイルスによって開催できなかった展示会の多くは年内に延期開催する予定で、中長期的な影響は軽減するとしているものの、UFIリサーチマネージャーのChristian Druart氏は「延期は短期であっても、計画的なビジネス・収益に遅れを出すため、その影響は即座に出るもの。特に中小企業にとって実存的なリスクをもたらす」とコメントしている。
発表についてUFIのCEO兼マネージングディレクターの Kai Hattendorf 氏は「算出・発表した数字は、経済の回復において展示会が果たす重要性を強調するもの。マーケットの場でありミーティングの場である展示会は経済回復を促進する近道」として、UFIでは政策担当者とグローバルリーダーの協力を頼りに、展示会にかかわる企業が今後もその役割を果たし続けられるようににすると意思表明しており、最後に「これらの展示会産業にかかわる企業はすべて、現在の延期とキャンセルの波の下ですでに大きな被害を受けている」とメッセージを発信した。