海外のMICE誘致事例や組織体制から学ぶ「横浜グローバルMICEフォーラム」レポート

主催・開催地選考の立場から語る、MICE誘致のポイント

勝利のパートナーシップを築く

ノーア・アーマド・ハミド氏

強みと弱みを把握する

ノーア・アーマド・ハミド氏

意味のあるパートナーシップを組むには自分たちと相手の弱み、強みを認識することが大事で、さらに中・長期的なコミットメントを確認して連携期間などを明確にすること、自己分析として誘致前・中・後の計画をきちんと立てることが重要だ。招致成功はもちろん、競合都市に負けた場合はさらに数年誘致活動を続けることになるので、追加予算や次のプレゼンターなどについて想定しておくと良い。

横浜の強み弱みについて考えると大規模で文化的な会議室を持っており、日本一のコンベンション実績を持っていることが強みだ。一方、もし都市全体をコンベンションシティとして考えることが難しければ弱みといえるだろう。メルボルンやシンガポールは徒歩圏内に複数のコンベンションセンターがある。周辺のカフェなど地域社会に対してMICEの社会的影響を伝えているかどうかも気になるところだ。弱みを把握しておくことはPRするうえでも重要で、プレゼンテーション時に質問されたときの対応につながる。クチン(マレーシア)はアクセスが良くないところだったが、その弱みを把握してプレゼンテーションで指摘されたときは上手い切り返しをしていた。

レガシーの意味を正しく理解する  

開催の“レガシー”を正確にとらえているか、ということも考えてほしい。「学校を巻き込んで開催した」「予算が付いた」「大臣を呼んで盛大に開催した」……これらはすべてただの開催結果でレガシーではない。「MICEの交流がきっかけで研究にひらめきが生まれ、新しい薬が開発されて数千人の命が救われた」というようなものがレガシーといえる。宇宙産業が盛んで、関連の学者が多いオーストラリアのアデレードで宇宙関係のMICEが開催された場合、「新しい研究施設が作られた」というのはレガシーではない。「MICEがきっかけで研究が盛んになり、一般人が宇宙旅行に行けるようになった」という段階まで来てレガシーと言える。レガシーはすぐ生まれるものではないことを理解すべきだ。

ハードロックカフェ横浜の取り組みを紹介

石井 修氏

さらにフォーラムでは周辺地域の施設からハードロックカフェの横浜セールス&マーケティングマネージャーを務める石井修氏が登壇。石井氏はアフターMICEでの活用についてプレゼンテーションを行い、利用実績を紹介した。石井氏は幅広い年齢層でのコミュニケーションを充実させるためにカジュアルなパーティーを心掛けており、DJを入れた演出やハードロックカフェのロゴ入りTシャツの提供などを行っていることを説明。さらに特別支援学校を始めとする教育旅行の受け入れも実施し、ハードロックカフェらしさを出すために展示ステッカーやハンバーグをペーストにして楽しんでもらう工夫について語った。

最後に日本コンベンション協会(JCMA)代表理事の近浪弘武氏(日本コンベンションサービス社長)をモデレーターに迎えジェイソン氏、アシュウィン氏、ノーア氏によるパネルディスカッションを実施。  近浪氏は今回の連携に関するパネルディスカッションを振り返り「アジアの中に協力できる仲間がいることがわかる講演内容だった。今後はアライアンスを組んだり、コラボレーションできればよいと思う」と語った。  今回の横浜グローバルMICEフォーラムでは、リアルタイムに質問を投稿できるリアルタイムアンケートシステム「respon」を導入。さらにセッションの合間に周囲の知らない人と「直近で行ったコンサート名」を記載した名刺を交換する企画を実施するなど交流を促進させるための取り組みが行われた。

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