今、新型コロナが世界を未曾有の不安と危機に落とし込んでいる。IMFは4月14日、2020年の世界の経済成長は前年比マイナス3%と下方修正し、大恐慌以来の景気後退になる可能性が高いと指摘している。
人への感染が強い新型コロナの感染防止で世界各地で外出禁止・制限・自粛要請とソーシャル・ディスタンスが求められ、展示会・イベントは世界中で止まっている。いつになったらこれまでどおり展示会・イベントを開催できるのか予測できない状況となり世界の展示会イベント業界は連帯してこの危機を乗り越えていこうと呼びかけあっている。同時に業界の経済効果と経済損失を説明して政府等の公的支援を強く要請する取り組みを進めている。なぜなら今回は、業界だけの努力では克服することが困難で、このまま仕事ができない状況が続くと多くの企業が倒産して失業増となり業界の基盤さえ崩壊してしまうのではという強い危機感を共有している。
国内でも展示会イベントやコンベンション業界団体は国・政府機関や自治体等に早急な支援について陳情・要請を行っている。特にこの業界は2020年東京オリパラで会場使用制限の問題を抱えていたところに新たに新型コロナ禍とオリパラ延期の影響を受けることになり、危機感は他国と比較しても深刻さを増している。
本稿では世界の展示会イベントの中止・延期の影響と支援要請の状況について、さらに支援を決めた国の動向などについて紹介する。
■中止・延期の影響と支援要請の動向について
際団体や各国の業界団体が中心になって動いている。業界団体では展示会イベントにコンベンション等関連団体が一緒になり動いていること。主催者、施設、出展企業、バイヤーにサービスプロバイダー、個人事業者、フリーランス等関係者全部をカバーする形での要
請を行っていることが印象的だ。
■1. UFI(国際見本市連盟)
UFIが損失額の試算発表(3月20日)
UFIは展示会の中止と延期が世界中の出展企業と展示会産業全般に大きな影響を与えており2020年第2四半期までに予定の展示会が開催されない場合の損失について、契約金額で1342億ユーロ(1449億米ドル)、経済産出額では816億ユーロ(882億米ドル)に達すると試算額を発表した。
UFIは独自のデータに基づき2020年第2四半期末までに保証されない出展企業の取引額は世界全体で1342億ユーロ(1449億米ドル)に達するとした。これは3月末までの中止影響による損失額230億ユーロの約5倍となっている。これは世界中で展示会イベント産業が止まっているためだ。
展示会産業の経済産出額は第2四半期までに816億ユーロ(882億米ドル)が創出されないことになるが、雇用を含めて損失の地域別内訳は別表の通り。
地域 | 損失額 | 雇用(フルタイム) |
アジア 大平洋 |
218億ユーロ (236億米ドル) |
378,000人 |
欧州 | 288億ユーロ (311億米ドル) |
257,000人 |
北米 | 292億ユーロ (316億米ドル) |
320,000人 |