■3. AUMA(ドイツ展示会協会)
AUMAは展示会の延期・中止によるドイツのマクロ経済に対する影響は約30億ユーロの損失が見込まれると発表(3月24日)
展示会の延期・中止で主催企業とサービスプロバイダー(ブース施工業者等)はすでに大きな損失を受けているがホテル、ケータリング、輸送業者、その他多くの地元サプライヤー、コントラクターにも売上の損失が大きくなっている。売上減で税収も低下するので都市や地域の経済損失も発生している。
今般AUMAのInstituteof German Trade Fair IndustryはIfo Instituteに委託して2018年のドイツ展示会のマクロ経済への貢献実績をベースに初めて新型コロナによる展示会の中
止・延期の影響見込を分析した。これによると約30億ユーロの損失に加えて2万4000人の雇用が失われ4億7000万ユーロの税収損失になるとしている。なお30億ユーロには展示会が開催される場合の売上数字が含まれていないが、これらの数字は30億ユーロの数倍の規模となるので損失見込みの数字は低く見込んだものになっている。
AUMA の会長Mr.Phlipp Hartingは「ドイツは国際展示会の開催では世界1位だ。年間に160〜180件の国際展示会が開催され18万の出展企業と1000万人の来場者を誇る。ドイツの出展企業はB2Bコミュニケーション予算の約半分を展示会参加に投資している。ドイツの展示会は年間で23万人の雇用を生み出し税収では45億ユーロを創出している。さらに出展者と来場者の支出で年間280億ユーロ以上の生産効果をもたらしているが、新型コロナの影響で国全体への貢献は10%減少する。展示会産業界が必死に努力しても政府の支援なしには今後も中小企業のマーケティング手段として効果的な展示会を活用することが困難になる」とコメント。
注:連邦政府は4月15日時点で8月31日までは大規模なイベント開催は禁止としている。
■4.CEIR(展示会産業調査センター)
米国のCEIRは3月15日までに50件のB2Bイベントが中止となり520万平方フィートの展示面積、3億1800万米ドルの展示会主催企業の収入が失われ、出展企業と来場者の直接支出ベースでは経済全体にとり18億米ドルの損失になると発表(3月18日)
3月15日CDC(米国疾病対策センター)が今後8週間において50人以上参加のイベントは中止すべきと要請を出してから展示会の中止は加速しており、例えばホテルで開催される中小のイベントはメディアではカバーされていないので実際の中止件数はさらに増加
している。
毎年3月1日から5月15日までは平均しておよそ2500件のB2Bイベントが開催されているが、CEIRは今後数週間で50%から80%のイベントがすでに中止または中止に追い込まれると見込んでいる。これら中止決定と中止が見込まれる展示会の損失は展示面積で4100万平方フィートから6500万平方フィート、主催企業の収入で23億米ドルから36億米ドルに達し、出展企業と来場者の支出ベースでは経済全体に対して140億米ドルから220億米ドルの損失になるとCEIRは推定している。
注:CEIRは米国では年間平均して9,400件のB2B展示会が開催されており2019年には米国のGDPへの貢献は1010億米ドルに達すると分析している。
3月15日までに中止となった主な展示会には、Inspired Home Show(展示面積80万平方フィート以上)、Global Health Conference and Exhibition(展示面積60万平方フィート以上)、ASD Market Week(展示面積60万平方フィート)、Natural Products Expo West(展示面積60万平方フィート)がある。