イベントや展示会を中心に体験型マーケティングを支援する博展は、5月からグループ会社でITサービスを提供するスプラシアと連携し、オンラインでのプロモーションサービスを開始している。
今回は博展が不定期に開催している、ウィズコロナ・アフターコロナを見据えた企業のマーケティング・PR担当者向けオンラインセミナー「THINKEXPERIENCE LIVE」をレポートする。
6月24日に開催されたセミナー「ON/OFFLINEが融合した体験マーケティング」では、新型コロナウイルスによりリアルの体験が制限された現在において、どのようにオフラインとオンラインを融合させ効果の高いマーティング活動を行っていくのかについて、具体例を交えながら語られた。
前半は博展の田上裕起氏が、オン・オフが融合した体験マーケティングを「ハイブリッドコミュニケーション」と称し、その現状について「徐々に解除されているとはいえ、オフラインのイベントに制限がある状況は続いており、これからは合同展示会でも企業マーケティングでも、オンとオフを組み合わせたハイブリッド型の企画が多く見られるようになると考えている」と語った。
クライアントからは「どうやってオンライン化すればいいのかわからない」「オンライン化が終わったが、これでどう効果が出るのか」といった声も届いている。
田上氏は、どのような企画が効果を発揮するのかについて、「ハイブリッド型の企画は『オンライン ファン育成型』『VR(オンライン)体験』『リアル体験』などのパターンに分けられる(ただしそれぞれが独立しているとは限らない)」とした上で、次のように解説した。
①オンライン ファン育成型
まずオンライン上でセミナーやレクチャー、トレーニングなど「体験を提供するイベント」を開催し、集大成としてリアルイベントを開催する。自社や自社ブランドのファンを育成していく参加型の企画で、事前の盛り上がりを醸成、より大きなインパクトを与えることができる。一定期間の時間軸でオンからオフへの誘導を設計し、普段リーチできていない層にまで効果を発揮していく。
ファン育成の企画はSaaS系企業(ネット上でソフトウェアを提供する企業)で進んでいるが、直接のセールスが制限されている現在、さまざまな業種の企業で必要になってくるだろう。
②VR(オンライン)体験
オンライン上にバーチャル空間などコンテンツを作り、訪れた人とコミュニケーションをとっていく。例としてはオンライン展示会などが考えられるが、リッチなコンテンツやコミュニケーションの機能を実装するだけではなく、それをターゲットにつなげる活動のほうをデザインすることが重要になる。
漏れがないようバイネーム(名指し)での対応シフトや案内フロー、ターゲット別の動線設計、KPI設計(VIP案内数/商談数/体験数)など、コンテンツの戦略だけでなくその先の活動の計画・実行が必要だ。
③リアル体験
コンサートのネット配信などは以前からあるが、今後は、オンラインではオフショットなど特典や会員制・ポイントの付与、オフライン(リアルイベント)ではVIPのための施策や普段オンラインで見てくれている人を招待するなど、ただ中継・配信するだけでなく、オン・オフともに価値を高めるマーケティングとしてのコミュニケーションを設計していかなければならない。
セミナーの後半では、スプラシアの中島優太代表が、オンライン化のために必要なソリューションについて語った。
「オンラインイベントを構築するには、登録・配信・サイト構築を行うプラットフォームだけでなく、企画・撮影・編集などを行うクリエイティブ・スタジオ・編集チームや、顧客や参加者の窓口となる事務局も重要になる。なお、オンラインでは動画コンテンツがより大きな役割を担う。
サービスを買って終わりではなく、運用するリソース・チームが必要だ。
オンラインイベントのプラットフォームの選定は、長いレンジで考えていく必要がある。現状ではマッチングに特化したイベントシステムもあるし、バーチャル空間での体験を重視したいならUI、UXを凝ったものなどもあり、サービスごとに顕著な違いがある。
クライアントの目的に合わせて選べる状況だが、将来的に機能は横並びになり、価格競争になってくるだろう。柔軟性・拡張性のあるツールを選択することが重要だ」。
またオンライン施策を実行する組織づくりについては、「大きな組織変更をしてオンラインに対応するのは難しいと思う。人をガラッと入れ替えるのでなく、部門を横断したタスクフォース型のチームを徐々に大きくしていくのが良いのではないか」と語った。
(上の内容は6月24日に開催されたセミナー「ON/OFFLINEが融合した体験マーケティング」のレポート記事になります)
次回の博展グループオンラインセミナー「THINK EXPERIENCE LIVE」には、博展のホームページ→ニュースから参加できる。