国際観光振興機構(JNTO)は6月23日の定例会見で、報道関係者に向け訪日外客数の報告や現在の取組みの紹介を行った。
2021年の訪日外客数は1万人で、2019年同月比-99.6%となった。2021年は1月から5月まで98~99%減となっており、低迷が続いている。金子正志理事は、海外旅行の回復時期の見通しについて、IATA(国際航空運送協会)のデータを例に挙げ説明。世界の航空路線需要の回復が2019年と同水準まで回復する時期について、2020年7月の時点の推計では2024年の見通しだったが、2021年1月の時点では2023年と時期が更新された。ワクチン接種拡大も受け、航空需要の回復は加速すると予想されており、旅行需要の回復について「希望は持てるものの今後もしばらくは予断を許さない状況が続く」と見解を述べた。
JNTOは現在、日本の感染拡大国であるという印象を払拭するために感染縮小に向けた実績値を正しく発信することが重要だとして、活動を展開。一環として、5月16日から19日にドバイで開催された「アラビアン・トラベル・ハイブリッド」に現地・バーチャル共に出展した。現地ではワクチン接種が進んでいることから関係者の多くがオフラインでの商談を望んでおり、商談件数はオフライン126件、オンライン13件となった。
Tokyo2020を目前に控えた広報戦略としては、大会そのものへの観客誘致ではなく、大会を各メディアで見ているユーザーをターゲットに活動を行っている。日本を次の旅行先に選んでもらうため、オリ・パラを切り口とした座禅や武道などのアクティビティの情報に加え、パラリンピックと観光を結び付けたバリアフリーのマリンスポーツやデュアルスキーなどの情報を、日本の魅力として発信している。
また、SDGsへの貢献とサステナブル・ツーリズムの推進に向けて、新たにJNTOとしての取組み方針を策定。世界に日本の魅力を発信する組織として、イベント運営時のプラスチック使用削減など、組織運営や事業活動で、より一層環境保全に配慮する構え。コロナ禍を受けた世界の旅行者の持続可能性(サステナビリティ)に対する意識の高まりを踏まえ、サステナブル・ツーリズムの推進に取り組む日本の地域や観光コンテンツの海外に向けた情報やユニバーサル・ツーリズムに資する情報の発信や国内関係者への国内外の先進事例の情報提供などの活動を強化するとしている。