震災後の欧米訪日旅行動向を解説(6/21)

ポータル・ジャパン(株)は6月21日、Nツアービルで第21回やまとごころ勉強会「インバウンド復興支援セミナーの続編~震災後の欧米の最新動向を報告~」を開催。旅行会社や各自治体の観光関連機関などの関係者およそ50人が出席した。

GMTツーリズム総合研究所所長の太田正隆氏は欧米諸国の震災後の対応やJNTOなどの統計値などを基にしたアジア・欧米からの訪日旅行の動向について解説した。

欧米各国では震災長後に被災地への渡航自粛勧告、回避、被災地からの避難勧告が出されたが、対象地域や避難勧告解除の時期などは国によってばらつきがあった。とくにフランスでは原発に対してのネガティブな印象が強いためか、5月13日まで宮城、茨城、栃木への商用目的等での渡航自粛勧告が行なわれ、観光目的での訪問は現在も自粛勧告を継続している。一方米国では訪日旅行の回復が早く4月には3万人に満たなかった旅行者が5月には4万人を超え、早い回復をみせた。

送り出し国の渡航自粛延期勧告のほかに、自国民の避難・出国勧告、航空便の減便・取消し、旅行会社が訪日旅行商品の企画・販売への慎重になったことなどが、震災後の訪日旅行客減少を助長した。今後も原発事故の収束の見通しがたたないこと、電力不足・放射線の風評被害、円高傾向など懸念材料が多いが、震災復興による生産誘発効果や自粛の自粛など、復興へ期待できる材料もあると語った。

トラベルズー・ジャパン(株)のシニアディレクター鈴木創氏は、同社が発行するオンライン旅行情報メディア「Top20TM」の、欧米7か国の編集長へのヒアリング結果を報告。欧米各国では震災直後は被害状況などの報道が多かったものの、その後の復興状況の情報が十分ではなく、日本へのデマンドを下げる原因になっており、行政や関連機関による正確な情報発信を求める声が多かった。

また、リピート客に独自の情報発信とプロモーションを行ない、すでに震災前を上回る旅行者を迎えている宿泊施設の例をあげ、厳しい状況のなかでも業績を回復する活路があることを示した。(6/22)

主催のポータルジャパン 村山社長  GMTツーリズム総合研究所 太田所長  トラベルズー・ジャパン鈴木氏