震災後の開催が世界から評価(3/9)

3月9日、日本コンベンションサービス(株)会議室でIAPCOアワード2011の授賞式が行なわれ、受賞した第23回国際血栓止血学会(ISTH2011)学会長を務めた早稲田大学池田康夫教授にトロフィーと表彰状が贈呈された。

同賞は、35か国の100社を超す国際会議運営者が加盟する国際組織IAPCO(International Association of Professional Congress Organizers=国際PCO協会)が、優れた取組みを実施した会議の主催団体などを表彰するもの。1992年以降56の団体が受賞しているが、日本で開催された会議が受賞するのは今回が初めてのこと。

受賞した第23回国際血栓止血学会は、昨年7月23日から28日に国立京都国際会館で開催。約80か国におよぶ海外からの4,000人を含む6,000人が参加した、震災後に開催された国際会議としては最大規模の国際会議。

東日本大震災と津波・原発事故によって、多くの国際会議が中止・延期した状況のなかで、同学会の国際本部では開催地変更を検討する動きもあったが、リスク調査会社に安全性を証明する情報の収集を依頼、福島と京都の位置関係の説明、余震に対する安全対策など、組織委員会の熱心で具体的情報にもとづく働きかけにより、予定どおりの規模で開催したことが評価された。

池田教授は「この領域の日本の実力を世界へ発信するために、さらなる研究の発展のために8年前から準備してきたので、簡単にはあきらめたくありませんでした。また、日本で安全に開催できることが確信できたので、風評被害を払拭して日本の復興に役立ちたいという考えもありました」と開催にむけて尽力した際の気もちを明かした。

 

 

表彰式には観光庁の溝端宏長官とJNTOの松山良一理事長も駆けつけた。溝端氏は「震災以後日本の観光は大きなダメージを受けました。キャンセルや事業者の倒産などもあっただけでなく、観光のことを話すこと自体がタブーという雰囲気でした。そのような状況でMICEの開催が国際的な安全・信用の復活をアピールする機会になるのではないかと、池田先生にワラにもすがる気持ちで開催のお願いをしました。ISTH2011の開催決定がそれ以降のイベントに追い風を与えてくれました。会場で海外からの参加者に感謝の気もちを伝えたところ、逆に復興のために頑張るように励ましてもらい、MICEの素晴らしさをあらためて感じました」と語った。

松山氏は「Japan Video Nowをはじめとする日本の安全情報の発信やレターの発給などの面で、このような由緒ある賞の受賞に貢献できたことを光栄に思います。また日本人の助けあう心や規律正しさなどが、きちんと評価されとことに喜びを感じています」と述べた。

 

ISTH2011の運営を担当した日本コンベンションサービスの代表取締役社長近浪弘武氏は「PCOという職業は一般のみなさんがあまり知らない世界かもしれません。しかし、今回の受賞で、国際会議の成功が世界中に発信され、私どもの仕事が日本の復興を推進する礎になっているのだと誇りをもつことができました。これまで以上に日本MICEの発展のために努力いたします」と語った。