「女性部会キックオフ・ミーティング」を開催(4/10)

(一社)日本コンベンション事業協会(CPA)は4月10日、女性就業支援センター(旧:女性と仕事の未来館)で「女性部会キックオフ・ミーティング」を開催した。

女性部会長を務める西川洋子さん((株)コンベックス)は、会に先立ち、「女性部会は、コンベンション業界で働く女性たちを応援することを目的に、一般社団法人への移行とともに発足したもの」と参加者に解説。

「今後は、研修・教育、交流・情報交換、情報発信などの活動を行なうものとして、今回は、悩みの一つであった『後輩の育成について』をテーマに発足後初のミーティングを行ないたいと思います」と、はじまりの挨拶をした。

ミーティングは、プロローグディスカッションとして、ICSコンベンションデザインの田代直子氏がコーディネーターを務め、(株)フジヤの降幡恵さん、(株)響映の佐藤梨紗さん、(株)コングレの堀倫子さん、(財)ちば国際コンベンションビューローの岩田由美子さんが登壇。テーマの考えるきっかけとなるよう、それぞれの立場と現状、取組みについて一人ずつ話した。

【プロローグディスカッション】

佐藤さん

会場の音響・照明の業務がメインではありますが、ホテル常駐の響映では、イベントに関する業務に加え、一ホテルスタッフとして仕事にあたっています。そのため、技術面だけでなく、ホテルマンとしてのマナーについての指導も必要です。弊社では、プロジェクトK(Kは響映のK)と呼んで教育指導しています。3、4年目までが対象で、個々人の自己判断に足りないことはないかなど、上長がフォローしながら個人のスキルアップをはかっているんです。
私自身は中堅どころ。まだ学ぶところがありますが、後輩の指導では、スキルアップとともに、メンタル部分へのケアを個人面談などを通じ、日常業務では把握しきれない部分にも気を配りながら、仕事のしやすい空間づくりを目指し、プロジェクトをすすめています。

 

 

 

 

降幡さん

フジヤはPCO、展示会、ショウ環境の分野で仕事をしています。私はクリエイティブ事業部の所属で、業務はデザインや企画が中心です。デザイナーとしてのスキルも重要ですが、自分のデザインをどう売るか、お客さんとのコミュニケーションは大事ですから、口をすっぱくして指導している部分でもあります。いろいろな形で指導していますが、大切だと思うことは、自分が一生懸命ものごとに取り組む姿勢をみせること、うそをつかないこと、自分が健康であることですね。
それと、経験を積んでいくうちに変わってきたことは、以前よりも我慢ができるようになりました。それと勇気をもてるようになった。これは、任せる勇気ということです。任せたことが自分にふりかかってくるのはとても怖いことですが、勇気をもってやっていっています。仕事ひとりではできません。一人でやるほうが楽と思うことがあるのですが、任せることを覚えてからは楽になりました。

 

 

 

堀さん

コングレに入社後、いったん退社し復職して2年になります。現在は、会社員と主婦と子育てと、バランスをとりながらの状態です。興味本位で入ったのがきっかけでしたが、国際会議というダイナミックな仕事に魅了され、仕事が好きで好きで仕方ないという毎日でした。2008年には洞爺湖サミットを担当し、入社後やりたかった夢がかなった思い出深い仕事となりました。その後、結婚し、子供ができて、退社しましたが、公立の保育園をみつけることができ復帰しました。復職後は、勤務時間の関係から以前のようにメインディレクターを担当することはできませんが、CPAの事務局をさせていただいています。
後輩の育成は、子育てと似ていて、1から10まで説明すればミスがないかもしれないけれど、フレームを話して、任せて、あとの責任は私がとるね、としたほうが後輩にとってもいいと思っています。
弊社は女性が多い職場。子供ができてやめるひとも多いので、残念だと思います。子育てしながらの仕事は大変ですが、後輩には、やればできる、両立できると言いたい。自分で努力しなければいけなにこともあるけれど、そんな人材がふえることを願っています。

 

 

 

岩田さん

ちば国際コンベンションビューローで23年になります。皆さんのような民間企業とは違い、ビューローは、プロパー(職員)と県や旅行会社など民間企業からの出向人事でなりたっています。2、3年でひとが入れ替わるため、後輩に教えるというチャンスはほとんどありません。
育成という意味で、わたしは自分で自分を育てるという意識をもってやってきました。それでも、この2年間は、大卒や中途の女性が入り、はじめて後輩育成について考える機会をもちました。
ダイバーシティという言葉がありますが、これは会社を強くする一つの要素だと思っています。たとえば、女性対男性、日本人対外人、プロパー対出向などもその一つです。財団法人の成り立ちは、いろんな畑をもったひとがいて、いろいろなところからの力を合わせてもっと大きな力にするということ。それがいい方向にいくかどうかは、それぞれの方向性を束ねる長のかたがいい方向を向けば、そういう方向に行くと思います。

 

 

 

4人のプロローグディスカッションのあと、6チームにわかれ「後輩の育成について」をテーマに日々感じること、会社で起こっていることについてのグループディスカッションが行なわれた。

グループディスカッションでは、それぞれ自身の仕事内容について紹介。その後、社内での後輩の育成について、各社の取組みを話し合った。グループのなかには、男性もまじっての交流もあり、
和気藹々とした雰囲気で進められた。

さいごに、各チームから代表者が一人ずつディスカッションで出た意見をまとめたグループ発表が行なわれた。発表では、「コンベンション業界は、男女均等に働ける職場ではないかという意見がでた」、「5年目ぐらいの経験者は、すべてを教わるわけでなく、後輩が自分で考える機会を与えることが必要」、「抱えている問題点は同じ。全般的に、言われたことはできるけれど、言われていないことはできない。業界全体として人材育成をしていくCPAとしての活動も必要なのでは」、「各企業の育成の取組みを聞くと、外部研修ではCPAでの研修や内部ブレーンを講師に迎えている例があった」、「女性部会で、女性目線で話し合われたことをCPA本部にあげて、CPAの幹部には男性の理解が必要」、「育成制度、マニュアル、技術としての仕組みも必要だが、プラスひとが大事。後輩にこうしてほしいと伝えるにはコミュニケーションをどうとるかも考えなければいけない」といった意見があった。

そのほか、今後のテーマについて「ホテル、会議場などの会場下見など、現場視察をすることで、職種の違いからでる異なる視点を学べる。意見交換することが業界の活性化につながるのでは」といった具体的提案もされた。

ミーティングには、男性の姿もあったが、大阪から出張して現場社員の声を聞きにきたという社長は、「女性の力はこれからも取り入れるべき。いろいろな企業・グループのパワーになることを実感しています」と、感想を述べた。

西川女性部会長は、会の終わりに「きょうはプロローグのプロローグ。立場によって、考え方もちがいます。今後、さまざまな課題について、どうしたらよいのかを考えるこうした機会を設け、一石を投じられるような会になったと言えるようにがんばっていきたいと思います」と結んだ。

今回の「女性キックオフ・ミーティング」には、39名が参加。プレス3社、オブザーバーとしてCPA会員も含め、活発な意見交換の場となった。

なお、CPAでは、6月7日(木)、一般社団法人設立記念祝賀会をホテルオークラ東京で開催。女性部会では、「普段はバックヤードで仕事をしている黒子的存在ではあるけれど、この日はドレスアップして、女性らしく華やかに参加すること」を提案した。(4/10)

 

 

コーディネーターを務めた 田代さん(左)と 参加者全員に配られたケーキ(右)