日本コンベンションサービス
ビジネスソリューション事業部 人材サービス部
アカウントマネージャー
ヤスミン カラタス 氏
新型コロナウイルスによってイベントの形態は大きく変化した。感染防止の観点から大勢が一カ所に集まるのではなく、離れた場所からオンラインで参加するのが主流となった。新型コロナの脅威が薄れるにつれ対面形式のイベントは徐々に復活の兆しを見せているが、コロナ禍で発展したオンライン開催のノウハウを活かさない手はないだろう。来るべき新時代のリアルとオンラインが融合したイベントの開催を見据え、国際的なオンラインイベントの運営資格であるDigital Event Strategist(DES)を取得した日本コンベンションサービスの社員であるヤスミン・カラタス氏に話を聞いた。(インタビュー:2022年4月21日)
オンラインイベントを成功に導く
―DESとはどんな資格ですか
シカゴに本部があるPCOの業界団体Professional Convention Management Association(PCMA)が認定する資格です。2013年から始まり時代に合わせて内容も変化してきましたが、新型コロナ以降は特にオンラインイベントに携わるプランナーなどから高い注目を集めていて、2020年10月にコース全体の最新のアップデートが行われ、それ以降随時、部分的なコンテンツの編集や追加が行われています。
取得者の大半は欧米人で、アジアパシフィックでの取得者はわずか168名。日本では4名となっており、PCOの取得は私が初めてとなります。
―どのようにして資格を取得しますか
DESを取得するためにはPCMAが提供する6つのモジュールから成るオンライン講座を受講する必要があります。コースはDES COHORT COURSEとDES SELF-PACED COURSEの2つがあり、前者はガイド付き6週間のコース、後者は自分のペースで進めるコースとなっています。受講に必要な料金はいずれも895ドル(メンバーは745ドル)となっており、私はDES SELF-PACED COURSEを受講しました。
―講座の内容はどのようなものでしょう
①業界概要+デジタルイベントの種類、②ビジネス計画と収益化、③コンテンツ+オーディエンスエンゲージメント、④技術+制作、⑤マーケティング+SNS、⑥計測+費用対効果分析の6つのモジュールで構成されています。
各モジュールは2時間ほどの内容となっており、前半と後半に分かれています。前半は複数の短い動画で構成され合計1時間、後半は講師によるQ&A形式の動画で1時間となっています。そこで使用されているスライドやワークブックをDLすることも可能です。
各モジュールの最後には「クイズ」が用意されていて、受講者はすべてのクイズで80%以上正解した後、最終試験に挑みます。最終試験は95の質問で構成され、すべて選択式、制限時間は3時間です。70%以上正解で合格となり、不合格となった場合でも3回まで再挑戦することができます。
―難易度はどの程度だと感じましたか
私は国際会議に携わり5年程度になりますが、3分の2は基礎知識やこれまでの経験を基に回答できるものでした。もう3分の1はこれまであまり経験していない領域で、オンラインイベントを成功に導くための細かいテクニックやマネタイズの方法などを学ぶことができました。
世界の最新事例や人脈に磨きをかける
―なぜDESを取得しようと思ったのでしょう
2021年の秋頃に東京観光財団が行った講座でDESの存在を知り、ぜひ取得したいと思ったのがきっかけです。コロナ禍でオンラインイベントが急増する中、仕事をしていく上でプロとしての資格があればクライアントに安心していただける材料になるかもしれないという思いもありました。
―DESを取得してどのようなことをしたいですか
DESの資格取得者は卒業生コミュニティにアクセスすることが可能で、そこでは世界のオンラインイベントの最新事例などが共有されています。また、SlackやLinkedInといったSNSを活用したネットワーキングも活発に行われていますので、知識や人脈を広げながら自分にしかできない「オンラインならでは」のイベントを実現していけたらと思います。
―今後、オンラインイベントはどのように発展していくと思いますか
新型コロナ以降オンラインイベントの数は急激に増えてきましたが、その対策が変化する中、今後はオンラインのみの開催は減り、ハイブリッド形式が主流になっていくのではないでしょうか。当初は斬新だったオンラインイベントのマンネリ化も進んでいるので、今後はいかに臨場感を演出できるかが重要になってくると考えます。
国際的なイベントを開催する上で、オンラインイベントの強みは何と言っても世界中をつなぐことができる点です。今後はこれまで以上に協力会社とも連携し、開発中の製品やサービスも駆使しながら新しいオンラインイベントを試行錯誤して作り上げていきたいと思います。
海外の先進事例を見ても、日本のオンラインイベントはまだまだ発展性があると感じることがあります。今後はDESの普及もしつつ、日本発のオンラインイベントが世界をあっと言わせることができるように頑張ります。