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幅広い業界に貢献した清水卓治氏を偲ぶ[シミズオクト]

昨年12月13日に90歳で逝去したシミズオクト代表取締役会長・清水卓治氏を偲ぶ「清水卓治より感謝のお別れ会 ~Show Must Go On~」が2月26日、東京ドームシティ・プリズムホールで開催された。スポーツ業界や音楽・舞台業界、イベント運営関係者など、多方面から約1200名の参列者が集まり、故人を偲んだ。

清水氏は1934年、北海道札幌市に生まれ、舞台設営やイベント運営の分野で数十年にわたり活躍し、業界の発展に寄与した。故人がよく口にした言葉「Show Must Go On」は「全ての仕事を最後までやり遂げなければならない」という社員への応援の言葉であり、シミズオクトにとって大切な言葉として受け継がれている。

清水氏はスポーツ業界にも深く関わり、日本サッカー協会・相談役の川淵三郎氏は「Jリーグ創設時、6万人規模の国立競技場の警備をどうするかという大きな課題がありました。シミズオクトの協力により、安心して開幕戦を迎えることができました」と振り返る。日本相撲協会の八角信芳理事長も「会場運営のサポートだけでなく、ゴルフをご一緒させていただいたことがあり、その若々しい姿勢に刺激を受けました」と語った。

舞台演出の分野でも実績を残し、多くのアーティストや関係者と協力してきた。音楽プロデューサーの松任谷正隆氏は「シミズ舞台工芸(現シミズオクト)との付き合いは30年以上になります。数えきれないほどのステージを作っていただきました。苦難を乗り越えながら共に成長し、シミズオクトなしには考えられない歴史を歩んできました」とコメント。演歌歌手の北島三郎氏は「同じ北海道出身でもあり、舞台やコンサートなど、幾度となく支えていただいたことを思い出します」と話した。また、ステージデザインを手掛ける英・Stufish社からは「私たちとのコラボレーションは思い出深いものだった。素晴らしい会社を作り上げた清水会長の功績に敬意を払い、今後も関係を続けていけることを願っています」とのメッセージが届いた。

その後、献花が行われ、参加者は故人への最後の別れを惜しんだ。また東京ドームホテルでは「感謝の集い」が催され、故人との思い出を語り合うひとときとなった。

本会の設営や演出、運営はすべてシミズオクトが手掛け、会場には故人の愛用していた品々や生前の写真、華やかなフラワーディスプレイが並んだ。清水氏を偲ぶ場は、自ら育てた企業によって設えられ、故人の歩みが形となった空間が広がっていた。

【対談】展示会ビジネスの魅力と未来② 堀正人 × 管埜寛之

マーケティングの代表格である「展示会」は、どのような役割を担い、なぜ必要なのか。この根本的な問いに対して、長年にわたり展示会ビジネスを手掛けてきた堀氏と管埜氏が対談を通じて思いを語る。展示会ビジネスの魅力とは何か、未来の展示会とはどのような姿なのだろうかを問う。(聞き手=池上龍朗)

※本記事は展示会専門紙『見本市展示会通信』に掲載した内容を編集したものです。

 

展示会産業の経済効果について

ーー今日は話を絞ってまず展示会の経済効果についての見解をお伺いできればと思います。それと、そもそも展示会って儲かるのか、という基本的な疑問も気になります。

管埜 展示会が儲かるか、それとも展示会を利用して儲けるのか。その辺を整理して話すといいかもしれません。オーガナイザーとしては、展示会はビジネス的にすごく有利な商売だと思います。特にキャッシュフローの面で有利ですし、成功すれば毎年安定した収益が見込めます。

一方、出展者にとっても、例えば全国に営業所を設置するより、展示会に出展した方が効率よくビジネスチャンスをつかめます。投資効果を考えると、展示会は非常に意義のあるマーケティング手段と言えます。さらに来場者にとっても、展示会は一箇所で多くの製品やサービスを比較したり、詳しい話を直接聞けたりする効率的な場ですよね。ネットだけでは得られない情報や体験ができます。

だから、オーガナイザー、出展者、来場者、すべての立場で見ても、展示会は大きな価値があるビジネスだと思います。

管埜寛之氏

堀 それが総合的な魅力なんですよね

管埜 展示会って、主催者にとっても来場者や出展者にとっても効率が良くて、とても価値のあるメディアですよね。

堀 特に主催者にとっては、継続的に利益を確保できるビジネスモデルになっていますよね。キャッシュフローの面でも、経営の安定感がある。

管埜 はい。一方で、出展者にとっては全国に営業所を設けるよりも、展示会に出る方がコストパフォーマンスが高い。効率的に新しいビジネスチャンスを見つけられるし、ROI(投資収益率)を考えても非常に良い手段です。

 来場者にとっても、一か所でさまざまな製品やサービスを比較できるのが便利ですよね。それに、「偶然の出会い」や「新しい発見」がビジネスに繋がることもある。

管埜 その「偶然の出会い」がまた展示会の魅力ですよね。それぞれにとってWin-Winの場になっている。

堀 それに、展示会の力を考える上で、やっぱり経済効果の数字が大事ですよね。個人でも自分自身の身長や体重を知っているように、展示会産業がどれだけの影響力を持っているかその実態の数字を把握する必要があります。

管埜 確かにそうですね。展示会がどれだけの経済効果を持っているのか、ちゃんと数字で示せれば、業界全体の理解も深まります。例えば、海外では展示会の経済効果を具体的な数字でしっかり示しているところが多いです。

堀 日本では残念ながらまだそこまで成熟していないですよね。展示会産業の「国勢調査」みたいなものが必要なんじゃないかと思います。

管埜 同感です。国や行政が主体となって、「経済効果」を調査して「この展示会はこの地方にどれだけの経済効果をもたらすか」などを具体的に把握するべきです。

堀 実際、海外の例を見ると、展示会がGDPを押し上げるだけでなく大量の雇用も生み出しています。ここにも注目したいです。

管埜 例えば2018年のデータだと、世界での展示会の経済規模は直接支出だけで約20兆円。展示会に関わる直接GDPは約810億ドル(日本円で約12兆円)で、130万人以上の雇用を生み出しているとされています。これを国別GDPランクで比較すると、世界で56位に相当する規模のビジネスなんです。

日本の展示会産業の規模について、堀さんとも相談しながら、「これを日本にあてはめるとどんな数字になるのか?」という話をしています。ざっくり計算すると、例えば展示会の来場者数は年間約1000万人くらいかなと。直接的な支出、つまり展示会関連の費用や出展者・来場者の旅費を含めると、約7000億円くらいになるんじゃないかと思います。

堀 それに間接的な費用を加えて計算すると、国内展示会産業の経済規模は日本全体のGDP(約557兆円)の0.2%、つまり1兆円くらいになります。

管埜 雇用も直接的には延べ約10万人くらいですかね。ただ、この数字が正確かどうかはわからないので、もっときちんと調査が必要だと思います。東京ビッグサイト単独の経済効果調査では年間6.5兆円(2007年)という数字もあるようで、それをベースに考えると10兆円弱という考え方もありえますね。

堀 その通り。現状では、展示会の経済効果や規模について、具体的なデータがまだ十分ではないので、国や行政にも協力いただきながら業界全体でしっかり取り組む必要があると思います。展示会がどれくらいの経済インパクトを持つのか、もっと正確に把握できると良いですね。

管埜 例えば、アメリカでは「Center for Exhibition Industry Research(CEIR)」という研究機関が、全米の展示会産業データを定期的にまとめています。現在ではコロナ前の2019年を基準にして、四半期ごとの回復状況を出しているんです。日本でもこういう第三者機関を作って、業界全体のデータを収集・分析する体制を整えるべきだと思います。

堀 確かに、日本にもそういう組織が必要ですね。そういったものがあれば、業界全体の成長や課題をより明確にできそうです。

管埜 展示会産業に関して、日本でももっとデータを収集・分析する仕組みが必要ですよね。例えば、野村総研や日本総研のようなリサーチ会社と連携して、展示会の経済的なインパクトを具体的に測る仕組みを作るべきだと思います。

堀 確かにそうですね。展示会産業はGDPや雇用にも影響を与える誇らしい産業のひとつなんですから、もっとしっかりとした基盤、業界環境の整備が必要ですよね。

堀正人氏

管埜 官公庁でも数字の把握はしていますけど、例えば来場者のデータが十分に含まれていないとか、数字が小さく見える問題もあります。それをきちんと補完して、直接的・間接的な経済効果や雇用も含めた総合的な数字を出してほしいですね。

堀 本当にその通りです。UFI(国際見本市連盟)のような国際基準を取り入れるべきだと思います。

管埜 例えば、観光庁が以前に発表した数字では、展示会産業の規模が1120億円(2009年)程度とされています。一方で、(一社)日本イベント産業振興協会のデータだと3077億円(2009年)くらいです。こうしたバラつきをなくすためにも、データを再構築する流れが必要ですよね。

堀 日本でも展示会産業の実態をきちんと把握し、世界に近づけていくべきだと思います。

管埜 今後はより具体的で最新のデータをベースに、展示会産業の重要性をしっかりと示せるようにしていきたいですね。例えば雇用の話なんかも、10年前には全然話題になってなかったと思います。でも、例えば東京ビッグサイトの中型規模の展示会では。実際に何人が働いているのか、そういった事実も反映していきたい。それを考えるとすごい数の人が関わっているんですよね。

堀 そうですよね。でもそのデータって、ちゃんと集計されてないことも多いですからね。

管埜 そうなんです。それこそ間接的な経済効果やシステム会社、また清掃会社なども含めて、どれくらいの人が関わっているのかをきちんと見ていき、それらの数字もきちんと把握する必要がありますよね。そういう影響をしっかり示すことで、展示会がどれだけ大きなインパクトを持つかを伝えられるはずです。

最近、UFIの発表でも、アジアの展示会場面積がヨーロッパを超えたという話がありましたよね。なのに日本はどうしてこう停滞してるんだ、という声も出てきますよね。

――経済効果をしっかりと示して、「これだけの価値があるんだから、もっと投資するべきだ」というメッセージを発信していくべきです。ぜひこれをきっかけに、もっと大きな動きに繋げていきたいですね。

 

理想の展示会

ーーそれでは、次のお話にいきましょう。「理想の展示会」のお話でしたね。

管埜 まずは私から。アメリカ系のイベント会社で働いていたときの話なんですけど、そこのCEOがすごく先見性のある人で、会社のビジョンをしっかり持ってたんです。そこには3つのビジョンがありました。

1 Education First
2 Interactive Show Floor
3 Year-round Community

というものです。

堀 「教育を第一に / Education First」というのは具体的には?

管埜 例えば展示会場の中でオープンセミナーをやったり、別の部屋で基調講演をしたり、いろんな形の教育を提供するんです。そうすることで、質の高いお客さんが集まりやすくなる。その分野に興味や関心のある人が集まるので、結果的に展示会の価値も上がるんです。

堀 なるほど、そういう視点で考えると、展示会の本質を問いただし、そのものの形が変わりますね。

管埜 2つめが展示会場における「インタラクティブな要素」です。例えば、製品デモやシミュレーション、来場者が実際に体験できるコーナーを作るとか、出展者同士のコラボが見られるショーケースを設けるとか。そういう仕掛けがあると、来場者と出展者のつながりがより深くなりますよね。

堀 それは確かに面白いですね!

管埜 さらに、3つ目が「Year-round Community」っていう考え方も取り入れていました。展示会って普通は3日間とか5日間のイベントですけど、その前後でSNSやグループ活動を通じてつながりを続けるんです。これによって、展示会の価値が広がっていき、年間を通じたコミュニケーションにつながると。

堀 それ、まさに新しい展示会の形ですね。教育、インタラクティブ、そしてイヤーラウンドコミュニティ。この3つを軸にすれば、AIやDXを使ってさらに高度化できるアイデアですね。

管埜 そうなんですよ。単なる展示会ではなく、セミナーやコンテンツ、多様な要素を組み合わせて、新しい価値を提供することが重要だという。その会社では主にIT分野の展示会を手掛けているので、技術革新が多く、こういったアイディアがより効果的だったのでしょうね。

堀 本当に、展示会を成功させるための大事なヒントですね。

管埜 90年代の中頃の話なんですけど、特にIT系のイベントが多かった時期なんですよ。例えばJavaの開発者向け会議(JavaOne)とか、COMDEXとか、まあそういうのがありましたね。それが
オーガナイザーとして、自分の仕事の意味とか社会への貢献を感じられる瞬間だったんです。それが今でもすごく印象に残っていて、やっぱり重要なことなんですよね。

堀 それって、成功的な展示会の基礎的なチェックリストみたいな感じですね。主催者でも参加者でも、それがしっかりしてないとダメってことですね。

ーーところで、理想の展示会に欠かせないポイントって何だと思いますか?

管埜 僕にとって、展示会っていうのはあくまで「場」を提供するものなんです。主役は出展者で、彼らが自由に自分たちの可能性を追求できる場を作る。それが一番大事だと思います。

堀 それって、出展者の満足度をどう高めるかがポイントですね。

管埜 それが展示会として成功するための基本だと思っています。出展者と来場者がしっかり繋がる場を提供する。それがオーガナイザーの役割です。

――なるほど。じゃあ、主催者、出展者、来場者、それぞれの視点から見た理想の展示会ってどういうものだと思います?

管埜 やっぱり、今の世の中にまだ存在していないものを作ることですかね。例えば新しい産業とかテーマを見つけて、それを形にしていく。AIとかもそうですよね。ただ「AI」ってひと言で言っても、医学用なのかビジネス用なのか、教育用なのかで全然違いますよね。そういう新しいカテゴリーを取り入れる展示会が理想的ですね。まだ日本ではそこまで進んでいませんけど、中国ではもうそういう動きが始まっています。だから、そういうアンテナを張ることも主催者にとって重要なんですよ。

堀 本当にそうですね。新産業を見据えた展示会は、これからどんどん求められると思います。

――例えば「ラーメン産業展」もそうです。その展示会をきっかけにラーメン協会ができて表彰までされてたじゃないですか。あれも、展示会が業界全体に与える影響のいい例ですよね。展示会が新しいメッセージを発信する場になったり、国や地域の施策を支える場になることも重要だと思います。例えば、九州で毎年半導体産業をテーマにした展示会を開くとか。人材育成も含めて、そういった場が求められているんじゃないでしょうか?

堀 出展者にとっても、参加するだけで購買が保証されるような展示会が理想ですよね。主催者がバイヤーと出展者を事前にマッチングして、効率的に商談が進むような仕組みがあれば、展示会の価値が一層高まりますね。

管埜 確かに。ソーシャルメディアやAIを活用して、来場者と出展者が事前に商談のアポイントを取れる仕組みを作ると、展示会に行く前からスケジュールが組まれるので、より効率的になりますね。

堀 それは、理想的ですよね。テクノロジーを活用すれば実現可能ではと思います。例えば、展示会に参加することで商品やサービスが業界や国から認定される仕組みなんかも面白いですよね。

――確かに。特にB to Bの展示会では事前に情報を共有したり、つながりを作ったりする仕組みがあると良いですよね。展示会の形って、今後どう変わっていくんでしょうか。従来のように人がたくさん集まるだけじゃなくて、もっと効率的な方法も出てきそうですよね。

管埜 そうですね。例えば、入場したらすぐに商談が自動的に進むとか、ITを活用すればもっとスムーズな形が実現できるかもしれません。でも、その一方で偶然の出会いや発見も展示会の醍醐味ですよね。

堀 まさに「偶発的な発見があるドンキホーテ的な効果」ですね。探してみたら「あれ、こんな面白いものがあるんだ!」みたいな偶然のワクワク感。それも展示会の重要な要素だと思います。

管埜 昔は商談室やマッチングシステムなんかが流行りましたけど、最近はあまり見かけなくなりましたね。でも、そういうクローズドな場も展示会の中にあって良いんじゃないかと思います。

堀 広い会場で自由に動き回れる部分と、静かな商談スペースが共存するような展示会が理想かもしれません。

管埜 そう考えると、いろんなニーズに応えるための空間作りが大事になってきますよね。

堀 商談中って、競合相手に商談をしているところを見られたくないっていう来場者・バイヤーの方は、結構いますよね。例えば、あるメーカーと話しているところを他社に知られるのを避けたいとか。

管埜 なるほど。だから商談はクローズドなスペースで行われるべき、っていう考え方もありますよね。例えば、部屋を用意するとか、そういう仕組みを作ることが必要かもしれません。

堀 現実的にはそういう形が多いですよね。でも一方で、オープンな空間も必要じゃないかって意見もありますし。

管埜 そうですね。クローズとオープン、この両方が共存する展示会が理想なんでしょうね。

堀 そのバランスをどう取るかが、これからの課題になりそうですね。

管埜 例えば、日本ではインターネット関連の展示会「INTEROP」を1994年に初めて開催したんですよ。もともとはアメリカ発のイベントなんですが、今でもイベントとして残っているのは日本だけなんです。他の国では淘汰されてしまいました。

堀 それはすごいですね!どうやって続けてこられたんですか?

管埜 やっぱり継続する力ですよね。それと、当時は会場に物理的なネットワークをどう設置するかっていう技術的な課題もあって、初めての挑戦だったんです。光ケーブルを天井に這わせるような作業をしたんですけど、日本のチームがアメリカのスタッフが驚くほど早く効率的にそれをやり遂げたんですよ。アメリカの本社がその日本のチームを向こうに呼びたいくらいだったんですね。日本人の仕事の丁寧さとか効率の良さには感心されましたね。会場費が高いからこそ短い時間で効率よくやる必要があったのも一因ですけど。

――「ShowNet」(Interop内のコンテンツ) っていう仕組み、本当にユニークな仕組みですよね。これ、最初の年からすごかったんですか?

管埜 はい、想像以上に大変な運営でした。当時はWi-Fiなんてなくて全部有線でしたからね。一つひとつ出展者のブースにケーブルを引かなきゃいけなくて、すごく大変だったんですよ。

しかも、そのケーブルってめちゃくちゃ太くて、一人では運べないくらいなんです。それを電気屋さんが頑張って作業してくれたんですけど、日本のやり方が効率的すぎて、アメリカから来たチームが驚いていました。「どうしてこんな短時間でできるんだ?」って。日本人として誇りに思いました。一つの形式と新しい技術の間をうまくつなぐ役割があるんだなと感じました。

堀 まさにそうです。過去の成功例や新しいモデルを活用して、業界全体が前に進むきっかけになればいいですよね。価値のある展示会って、競合がいる中でどう優位性を出せるかが重要ですよね。良い展示会には、出るべき出展者が集まるし、業界の縮図みたいな役割があります。

管埜 確かにそうですね。良い展示会には、その業界をリードする出展者がしっかり集まっていますよね。それが展示会の基盤というか、大事な部分だと思います。例えばCOMDEXでは、最初から出展している企業が優先されて、最良の場所を選べる仕組みが徹底されていました。それってシンプルだけど、出展者にとっては大きなモチベーションになっていたと思います。

堀 そういうルールがあると、公平性も感じられるし、長期的な視点での継続にもつながりますよね。あと、同じ商材を扱う企業でも、予算の立て方や優先順位の付け方が全然違っていて、それが展示会の内容や成果に影響するのが面白いですよね。

管埜 確かに。主催者の哲学や過去の経験を若手に伝えるのは、すごく意味がありますよね。それこそ展示会の価値を次の世代に引き継ぐために必要なことかもしれません。

――興味深いお話をありがとうございました。

(③に続く)

人気シリーズ最新作をリアルで体験できるXRイベント「『モンスターハンターワイルズ』AR 都庁襲来」3月3日から開催

小田急電鉄は2月27日(木)、東京・新宿区西新宿の都民広場で3月3日(月)から16日(日)まで開催するXRイベント「『モンスターハンターワイルズ』AR 都庁襲来」のメディア体験会を実施した。

カプコンの人気ゲームタイトルで、2025年2月28日(金)に発売されるモンスターハンターシリーズ最新作『モンスターハンターワイルズ』を、XR技術を用いることによって現実空間でも楽しむことのできるコンテンツ。ソニーネットワークコミュニケーションズの子会社であるSoVeCが開発する「XR CHANNEL」を使い体験することができる。

アプリを起動後、スマホを都庁に向けると突如現れた黄金のモンスター「≪煌雷竜≫レ・ダウ」が猛スピードでこちらに向かって飛んでくる。その素早い動きに翻弄され、姿を見失ったかと思った瞬間、さらなる脅威「≪鎖刃竜≫アルシュベルド」が目の前に顕現する。やがて縄張り争いを始めた2匹の戦いに我々は巻き込まれて……というストーリー仕立てになっている。

このイベントは小田急電鉄が代表を務める東京都の「西新宿先端サービス実装・産官学コンソーシアム」における、「地域の魅力向上に向けたXRの都市実装検討分科会」の一環。同社で新宿プロジェクト推進部調査役を務める中江徹氏は「当社はこれまで、XR技術によって事業をアップデートしてきた。XR技術を通して、その場所の特徴や魅力を感じてもらいたいというのが大事な趣旨だ」と語る。

提供=小田急電鉄

コラボタイトルにモンスターハンターを採択したのも、そのためだ。巨大なモンスターが空から大地へと縦横無尽に駆け回ることにより、普段は見上げる機会の少ない都庁を見上げ、都民広場の広さを改めて感じることができる設計になっている。SoVeCで企画・戦略 ジェネラルマネージャーを務める梶尾桂三氏は「都庁は東京でも類まれな場所だ。その特徴をいかんなく発揮することができた」と話す。

中江徹氏
梶尾桂三氏

イベントはAR対応のスマートフォンさえあれば誰でも参加が可能。中江氏は「話題作とのコラボ。モンスターハンターシリーズのファンはもちろん、老若男女問わず、一人でも多くの人に体験して欲しい」と言う。

 

仙台でMICE最新動向を発信する「SEN Com 2025」開催へ

青葉山コンソーシアムは2月27日、仙台国際センターでMICEの促進を目的としたイベント「SEN Com 2025(SENDAI Communication Fair 2025)」を開催する。本イベントはMICE業界関係者だけでなく、一般市民も対象。施設見学ツアーや商談会、試食会、セミナーなどの企画を予定している。

仙台国際センターは2025年4月20日から約2年半にわたり、大規模改修工事のため会議棟を休館する。これにともない、通常は公開されていない会議棟内の一部を含めた施設内部を案内する「秘密の舞台裏ツアー」を実施。MICE施設運営の裏側を紹介し、市民や業界関係者に理解を深めてもらうことがねらい。

またMICE主催者向けには「MICEサポート企業 展示・商談会」を実施。仙台市内のMICEサポート企業やホテル、MICE施設、東北6県のコンベンションビューロー、観光関連事業社らが出展し、業界関係者同士のネットワーク形成やビジネス機会の拡大を支援する。

移住希望地ランキングの1位は群馬県/2位は静岡県/3位は栃木県【ふるさと回帰支援センター】

認定NPO法人ふるさと回帰支援センターは、ふるさと回帰支援センターの窓口相談者・セミナー参加者等を対象に、地方移住に関するアンケートを毎年実施している。

このたび2024年(1月〜12月)の調査結果を発表した。

<調査概要>

調査対象
新規のセンター窓口相談者、新規の移住セミナー・相談会等参加者(いずれもオンライン含む)

調査手法 上記対象者へのアンケート(相談カード)

調査時期 2024年1月4日~12月28日

回答者数 19,021(相談:n=11,782 セミナー:n=13,349 相談とセミナーは重複あり)

2024年の移住相談件数(面談・電話・メール・見学・セミナー参加)は、61,720件だった。2023年(59,276件)に対し4.1%増となり、4年続けて過去最高となった。

また、移住相談会・セミナー等の開催数は637回で、セミナーの開催方法は、オンラインが251回(39%)、対面が247回(39%)、ミックス(オンライン+対面)が139回(22%)だった。

(「出展:認定NPO法人ふるさと回帰支援センター」)
https://www.furusatokaiki.net/topics/press_release/p52192/

ふるさと回帰支援センターは、有楽町の東京交通会館内にある移住相談センター。

センターでは、地方移住に関するパンフレットや資料を常設し、各地域の相談員が移住を希望する人に、具体的な地方暮らしの情報を提供するとともに、各種相談に対応している。

【東京都MICEシンポジウム 】竹芝と八丈島をつないで東京MICEの魅力PR

(以下は新聞・見本市展示会通信からの転載記事です)

東京都と東京観光財団(TCVB)は、1月22日に「東京都MICEシンポジウム」を開催した。東京・港区のベイサイドホテルアジュール竹芝と、八丈島の八丈町多目的ホール「おじゃれ」の2つの会場を中継でつなぎ、基調講演とシンポジウムを行った。

冒頭、TCVBの鈴木勝専務理事が挨拶。観光経済のうちビジネスイベンツの状況についても触れ「世界獣医師大会や世界哲学大会などの国際的かつ大規模な会議の東京開催が決定した。さらに八丈島をはじめとした島しょ地域や多摩地域での開催もあり、着実に実績を重ねている」と説明。東京都は2030年までに国際会議開催件数を世界3位以内に押し上げることを目標に、公金はじめ政策を講じていく構えだ。

プログラムの第1部ではMPIJapanChapter名誉会長・山本牧子氏が「参加者が満足するMICEのデザイン 海外参加者のニーズから探る満足度向上へのヒント」をテーマに講演。ビジネスイベンツで参加者の満足度向上につなげるためには、テクノロジーとホスピタリティによる、参加者にストレスをかけないスムーズな運営が重要であると説いた。

アクティビティについては、地域によってニーズが異なり、北米では自由時間を多く確保すること、欧州ではグループの食事、アジアは文化・観光が求められる傾向に変化していることから、山本氏は「属性に併せて個別のニーズに対応し、パーソナライズされた内容のコンテンツにしていくこと、五感に訴える驚きの要素があると参加者の記憶に残る。また地域の人々と共に参加するアクティビティがあると満足感が高くなる」と、要点を解説した。

次に、国際会議の「感動品質」について東京女子大学矢ヶ崎紀子教授が登壇。参加者の満足度向上を考える際に重要な要素として「当たり前品質」と「感動品質」という2種類を挙げた。「当たり前品質」は参加者にとって充実していることが当たり前の要素群で、「感動品質」は質が良ければ参加者の驚きを生む要素群。準備段階のやりとり、登録・予約・進行管理、交通アクセスなどが当たり前品質にあたり、学術プログラムやユニークベニュー、食事などが感動品質に該当する。矢ヶ崎氏は「感動品質が満足度を、当たり前品質が信頼を生み、いずれも参加者の満足度向上には欠かせない。チームの連携体制が重要だ」と解説した。

第2部はパネルディスカッションを行い、令和6年度東京都国際会議ボランティア事務局・関敦氏、DMO芝東京ベイ・田中敦典氏、八丈島観光協会・田村真吾氏、DMO東京丸の内・藤井宏章氏が登壇。ビジネスイベンツにおいて大切にしていることや、参加者の満足度向上によって期待できる開催地のメリットなどについて意見交換を行った。
エンディングでは八丈太鼓六人会が八丈太鼓パフォーマンスを披露。また会場ホワイエでは八丈島の特産品コーナーを設置し、八丈島エリアの魅力をPRした。

パソナG、大阪・関西万博でCYBERDYNEと共同で装着型サイボーグを展示

握手をするパソナグループの南部代表(左)と、CYBERDYNEの山海社長(右)

人材サービス大手のパソナグループは2月20日、大阪・関西万博に出展するパビリオン「PASONA NATUREVERSE」で装着型ロボット開発のCYBERDYNEと共同で展示を行うと発表した。

パビリオン内のからだゾーンで「身体機能の改善・再生」、「生活空間の拡張」、「自身の見守り」の3つのテーマを展開する。生体電位信号を読み取り、自由に動かすことのできる装着型サイボーグ「HAL(ハル)」は、触覚を身体にフィードバックすることで、加齢や病気などで低下した身体機能の改善が見込めるという。デバイスを装着した人の動きを模倣する「マスター・リモートシステム」は指先の細かい動きまで再現。場所や時間に縛られない生き方や働き方を提案する。

バイタル情報の変化を常に見守る小型センター「Cyvis(サイビス)」や、X線や造影剤不要で微小血管の状況を可視化する非侵襲の「Acoustic X(アコースティックエックス)」など、医療に変化を促す最新技術も展示する。

筑波大学大学院で教授を務めるCYBERDYNEの山海嘉之社長は、ロボット産業やIT産業に続く、人とサイバー・フィジカル空間を融合する「サイバニクス産業」の創出が、ウェルビーイング社会の実現に大きく寄与すると主張する。大阪・関西万博への出展を契機に半年間の検証を重ね、社会実装に向けた取り組みを進める。

パソナグループの南部靖之代表は「こうした技術を生活空間の中にインストールするのが我々の役割だ」として、今回の共同出展により、ウェルビーイング産業への参画を促進する意向を示す。

初公開となる「HAL(医療用腰タイプ)」の解説を行う山海社長
「HAL(医療用下肢タイプ)」の利用では保険が適用されるという
マスター・リモートシステムはパビリオンで体験コンテンツを予定
「Cyvis」は人生におけるリスクを軽減する

東京ビッグサイトの休館予定をチェック!

東京ビッグサイトでは、大規模改修工事により、以下のとおり施設の部分休館を予定している。

数年に渡って首都圏のイベントの開催に大きな影響を与えそうだ。

<休館期間(予定)>

西展示棟:2025年1月から2025年6月末まで
東展示棟(1~3ホール):2025年7月から2026年3月末まで
東展示棟(4~6ホール):2026年4月から2026年12月末まで
全館(南館を含む):2027年1月から2027年2月中旬まで 2028年1月から2028年2月中旬まで

中小企業庁の成長加速マッチングサービスが3月から開始

中小企業庁の「成長加速マッチングサービス」が3月から開始される。

同サービスは、中小企業と支援機関(金融機関、投資機関、認定支援機関等)をつなぎ、中小企業の成長や挑戦を支えるマッチングプラットフォーム。

サービスに登録した金融機関、投資機関、認定経営革新等支援機関などの支援機関が、支援したい事業者を探すことが出来る。

展示会でも企業同士のマッチングを重視する主催者が増えている中、近年は行政も積極的にマッチングに関する施策を打ち出しているようだ。