照明計画

特集 視覚コミュニケーション/展示会照明計画の基礎知識

伊東 保典(有)アイズ・コンプレックス代表

ここでは、照明という側面から展示会の視覚コミュニケーションについて考えてみよう。照明デザインを計画する際に求められる基礎知識を、空間総合演出を手がける(有)アイズ・コンプレックスの伊東保典氏に、実際のフローに合わせて図表・写真とともに体系的に解説していただいた。

また、下の写真では、最新照明テクノロジーとして注目されているLEDの可能性を示した。照明の基本メソッドを習得し、最新技術の活用事例を知って、来場者との効果的な視覚コミュニケーションについて再考しよう。

 

01 02 03 04
[01][02][03]は最新のLED照明による3パターンの演出手法。これまでの照明器機では不可能とされた演出も可能に。[04]は[03]を横から見たもの。

 

はじめに


近年、展示会における照明ディレクションの必要性は重要視されてきている。しかし、現実に出展者が照明デザイナーをディスプレイデザイナーと同様な立場で起用し展示会のディスプレイ計画を進めていくことは、

一般的に難しい状況にある。予算に限りがある展示会においてはさらに状況は厳しい。

本来、展示会における照明ディレクションは、出展者が来場者に出品物を視せるための展示照明とプレゼンテーションを魅せるための演出照明の2つに大きく分けられるが、
それぞれの照明計画をしっかりと認識し、かつ実施している出展者は少ない。

実際は、ディスプレイデザイナーが照明デザイナーを兼ね、電気施工会社と打合せをおこない展示照明を実施し、プレゼンテーションステージが演出的である場合には、
プレゼンテーションを取り仕切るプロダクションにより発注を受けた舞台照明施工会社が演出照明を実施している。

この図式が展示会場で見受けられる事例のほとんどとなっている。

しかし、最近の照明に対するソフトもしくはハードへの注目度や展示会の総合的なディレクションの進化を考慮すると、
ディスプレイデザイナーは本業に専念し、最終的視覚伝達の役目をもつ照明デザイン・ディレクションは照明デザイナーが担うという図式を構築し、
それぞれの専門職がデザイン・ディレクション作業を同じテーブル上で共同作業していくことが重要となる。

これからは、どんな小さな展示会でも「明るければ良い」と言われた過去の展示会とは決別しなければならない。
それほど照明技術は進歩し情報量も増加してきている。

本稿では、展示会における照明計画を実施するにあたって参考となる照明の基礎知識をまとめた。
出品物やプレゼンテーションを彩る「照明」の意味や目的を理解することでみえかたを学び、展示会でのみせかたについて改めて考えてみよう。

照明計画の基本メソッド


照明基本3計画の内容